戦前昭和生まれの刀剣・歴史映画監督(時代劇映画監督)

黒木和雄

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ドキュメンタリー出身から時代劇映画の監督も手がけた黒木和雄(くろきかずお)。戦争と学生運動の体験を背景に生み出されるその映像では虚実ない交ぜの演出がなされます。それは時代劇映画【竜馬暗殺】と【浪人街 RONINGAI】でも変わらず試みられます。

戦争・学生運動体験を背景に虚実ない交ぜに描く

黒木和雄は15歳で学徒動員されます。その年に第2次世界大戦が終結し、現実のはかなさと、もろさを実感します。

大学在籍時は学生運動に身を投じ、大学中退に至ります。その後、岩波映画製作所に入社し(1954年)、東京オリンピック出場ランナー・君原健二のドキュメンタリー【あるマラソンランナーの記録】(1964年)などPR映画・ドキュメンタリー映画を手がけました。

退社後、【とべない沈黙】でフリーとして初の劇映画を監督します(1966年〔ATG〕配給)。1匹の蝶が幼虫から成虫になるまでを追いかけ、原子爆弾を投下された長崎広島から京都大阪横浜・東京・札幌と北上し各地の人生模様を虚実ない交ぜにモノクロで描きました。

同作は完成後、公開までに2年かかります。当初の大手配給会社による公開予定が、前衛的な内容を手がける日本アート・シアター・ギルド(ATG)からの配給となりました。

東京オリンピック開催(1964年)以降、大衆娯楽の中心は映画から完全にテレビへと移行し、商業主義ではない作家性の強い映画の配給を目指したのが日本アート・シアター・ギルド(ATG)でした。

同作はフランスでも上映され、ヌーベル・ヴァーグの生みの親で映画プロデューサーのピエール・ブロンベルジェから招聘の声がかかるほど、賞賛されています。

DVD【日本の悪霊】より

DVD【日本の悪霊】より

以後も黒木和雄は反商業主義的志向を続けます。

ルポライター・竹中労との関係から始まったキューバ革命終結10周年を機に手がけたモノクロ映画【キューバの恋人】(1969年)ではキューバの地を訪れ、キューバの国立映画芸術協会と合作しました。

続くモノクロ映画【日本の悪霊】(1970年〔松竹〕配給)では、60年安保闘争の時代を舞台に元・特攻隊員の刑事と元・革命運動家の容疑者を描いた高橋和巳の同名小説を原作とします。

映画化にあたり独自の演出で刑事と容疑者の両者の顔が瓜二つとし、虚実ない交ぜに描きました。

明治時代を総括するドキュメンタリーを演出

DVD【天皇の世紀】より

DVD【天皇の世紀】より

黒木和雄はテレビ演出も手がけます。

歴史・時代小説家の大佛次郎は、明治100周年を迎える前年から明治時代の総括をした新聞連載【天皇の世紀】を執筆します(1967~1973年)。連載開始から4年後、第1部としてテレビドラマ化され、連載終了の年に放送された第2部の演出を黒木和雄が担当します(1973~1974年)。

第2部はドキュメンタリーとして制作されました。黒木和雄は全26回となった第2部のうち3回分の演出を担当し、幕末を掘り下げました。

この体験は黒木和雄4作目の映画が時代劇映画へと至るきっかけとなります。

映画【竜馬暗殺】

黒木和雄初の時代劇映画は【竜馬暗殺】(1974年〔ATG〕配給)です。

明治100周年を迎えた年、司馬遼太郎土佐藩脱藩浪人の坂本龍馬を描いた【竜馬がゆく】がNHK大河ドラマの第6作としてテレビドラマ化されていました(1968年)。司馬遼太郎のこだわりで坂本竜馬と表記し、革命家として描き、以後その存在が広く知られることになります。

黒木和雄はそんな坂本竜馬を描くにあたり、16mmによる手持ち撮影と、ざらついたモロクロフィルムの演出を選択します。脚本には田辺泰志と清水邦夫(代表作:岸田國士戯曲賞【ぼくらが非情の大河をくだる時】など)を迎えます。劇作家の清水邦夫は演出家・蜷川幸雄とのコンビで当時反体制的な若者を描いた演劇で人気を博していました。

Blu-ray【竜馬暗殺】より

Blu-ray【竜馬暗殺】より

同作では、坂本竜馬が暗殺される直前の2日間を取り上げます。

徳川家に温情を残す坂本竜馬(原田芳雄)、その命を狙う幼馴染の土佐藩藩士・中岡慎太郎(石橋蓮司)の葛藤が創作されます。

他に、坂本竜馬の暗殺の命を薩摩藩から受けたにもかかわらず坂本竜馬に惹かれていく剣客浪人・右太(松田優作)、右太の姉で坂本竜馬と体を交わし坂本竜馬に救いを見出す遊女の幡(中川梨絵)、坂本竜馬のかつての恋人で今は中岡慎太郎との間で心が揺れ動く近江屋の娘・妙(桃井かおり)などが登場します。

即興芝居を多用し、命を狙われる坂本竜馬が京都の町衆による「ええじゃないか」の大騒ぎのなかに逃げ込む場面など、黒木和雄はここでも虚実ない交ぜを表現しました。

撮影場所は祖師ヶ谷大蔵駅そばに当時あった醤油蔵を軸に、東京と京都で行っています。

大小よりもピストルを重んじる坂本竜馬

映画内で坂本竜馬(原田芳雄)は、幼馴染の中岡慎太郎(石橋蓮司)を引き合いにして自身の刀剣観を次のように語ります。

近江屋内の土蔵。坂本竜馬、用心棒の藤吉が見守るなかでピストルを試す。

坂本竜馬
江戸から京、京から長崎とあっちゃこっちゃ走り周るにはこいつが一番じゃ。大小は重とうてかなわんぜよ。あれで二三日走りつめてみいや。腰の関節がちがちじゃきに。
しゃけ慎太にもこいつを進めちぁる。どうしても放そうとせん。そこが慎太の代わり身の遅さじゃ」

映画【竜馬暗殺】より

坂本竜馬を斬れない中岡慎太郎

坂本龍馬は暗殺される直前、隠れ家の近江屋に移っています。映画ではその理由を息巻く土佐藩の若手志士による思惑としました。

徳川家に対して武力闘争を掲げる薩摩藩との信頼関係を厚くしようと若手志士は考え、徳川家温情派の坂本竜馬(原田芳雄)を邪魔な存在とみなします。

けれども中岡慎太郎(石橋蓮司)は、幼馴染の坂本竜馬を斬ることができません。

京のとある路地。中岡慎太郎にけしかける陸援隊士・野田。

陸援隊士・野田
「うるさくなった幕吏の目を避けるのは表向きのこと。真のねらいは坂本先生を土佐藩邸から離し裸にするため。つまりいつでも我々同志が斬れる状態にしておくため」

中岡慎太郎
「ならばこそわし一人で行く言うちょるんじゃ。竜の字はああ見えてなかなか用心深い男じゃ。本当に信用して土蔵へ請ずるのはわし一人じゃ。わしが昔の庄屋のせがれに返り、やつが質屋のせがれに返ったときこそ初めて油断が生じるんじゃ」

陸援隊士・野田
「いや、しかし」

中岡慎太郎
「黙れ! これ以上言うなっちゃ」

映画【竜馬暗殺】より

坂本竜馬を斬れない右太

映画では坂本竜馬(原田芳雄)に付きまとう謎の剣客浪人・右太(松田優作)が登場します。薩摩藩から坂本竜馬暗殺の命を受けているものの彼に惹かれ、斬ることができません。

近江屋の向かいにある姉・幡の自室を訪れた弟の右太。

右太
「姉ちゃん、逃げにゃいけんぜよ」


「なぜうちが右太と逃げんならん」

右太
「あん男殺さにゃ、わしも姉ちゃんも殺されるけんのう」


「うちも?」

右太
「そうちゃ、姉ちゃんもじゃ」


「(笑)だったら右太、やはんよ。あの男を斬っておしまい」

右太
「だめじゃ、わしにはできん」


「どうしたんだい。怖いのかえ。右太、姉ちゃんに黙っておったけどほんまは人を殺すのが商売なんやろ。なぜあの男は斬れんのよ。それともあの男だけは別かい?」

右太
「やめてくれ! わしには(泣きながら)どうしたらええかわからんのじゃ。わしにはできん、できんよ!」

映画【竜馬暗殺】より

人気テレビ時代劇シリーズ【新・座頭市】を演出

DVD-BOX【新・座頭市 第1シリーズ】より

DVD-BOX【新・座頭市
第1シリーズ】より

竜馬暗殺は評判を呼び、黒木和雄は勝新太郎からのテレビ演出の依頼を受けます。

テレビ時代劇【新・座頭市】のパート1です(1976年)。

歴史・時代小説家の子母澤寛原作のこの物語はすでに勝新太郎主演によって映画化・舞台化されており、人気シリーズのテレビ時代劇化でした。

黒木和雄は第13話を演出します。表題は「幽霊が市を招いた」です。

マキノ正博監督作【浪人街】

DVD【浪人街 第一話・第二話】【崇禅寺馬場】より

DVD【浪人街 第一話・
第二話】【崇禅寺馬場】より

黒木和雄はその後も、日本アート・シアター・ギルド(ATG)からの配給作(脚本家・中島丈博の自伝に基づく【祭りの準備】、田原総一朗原作【原子力戦争 Lost Love】)を続けて監督します。

そして大手の配給会社(吉行淳之介原作【夕暮れ】、村松友視原作・唐十郎脚本【泪橋】、長崎原爆投下の24時間を描いた井上光晴原作【TOMORROW 明日】)での現代劇の監督作を経て、再び時代劇映画に挑みます。

マキノ正博監督作、全3話からなる【浪人街】(1928年・1929年〔マキノ・プロダクション〕配給)のリメイクです。

母衣権兵衛(ほろごんべえ)、荒牧源内(あらまきげんない)、赤牛弥五右衛門(あかうしやごえもん)、土居孫左衛門(どいまござえもん)の4名の浪人が遊女・お新の危機をきっかけに、横暴を働く旗本・小幡一党に立ち向かう物語です。

山上伊太郎原作・脚本による同作は以後、【浪人街】(1930年)、【酔いどれ八萬騎】(1951年)、【浪人街】(1957年)と3度リメイクされ、黒木和雄は4度目のリメイクに挑戦することになります。

黒木和雄版映画【浪人街 RONINGAI】

黒木和雄版【浪人街 RONINGAI】(1990年〔松竹〕配給)は、山上伊太郎原作、脚本は笠原和夫(代表作:【仁義なき戦い】シリーズ、【二百三高地】など)が手がけます。笠原和夫はかつてルポライター・竹中労の鼓舞を受け、同作を深作欣二監督作として準備を進めていたものの頓挫しており、このときようやく実現へと至っています。

同作は、マキノ正博の父で日本映画の父とも称される牧野省三の追悼60周年記念として制作され、マキノ正博(マキノ雅広)が総監修を務めました。キャッチコピーは「旗本120人VS浪人4人」です。

DVD【浪人街 RONINGAI】より

DVD【浪人街 RONINGAI】より

江戸時代後期を舞台に、荒牧源内(原田芳雄)、赤牛弥五右衛門(勝新太郎)、母衣権兵衛(石橋蓮司)、土居孫左衛門(田中邦衛)の4人の浪人が、夜鷹(*河岸などを拠点とする下級の私娼)が斬られる事件を、夜鷹達の面倒をみている一膳飯屋・まる太の主人の殺害をきっかけに解決に挑みます。

やがて夜鷹斬りの犯人は旗本の小幡七郎右衛門(中尾彬)ら小幡一党と分かります。戦のない安定した時代で旗本としての所在のなさによる反動、人を斬る感触を味わいたいという身勝手な動機がそこにはありました。

事実を知った荒牧源内らは小幡一党120人に立ち向かって行くことになります。

撮影場所には、下鴨神社の糺の森や大覚寺の天神島(共に京都市)などが使用されました。

竹光だった浪人・荒巻源内

主人公の浪人・荒巻源内(原田芳雄)は、会津から天文学の勉学を志し江戸に出てきた学究肌です。けれども浪人となってからは遊女宅に居候する自堕落な暮らしを続け、貧しさから竹光を腰に差していました。

ある日、刀を入手することになるもそれは斬り合いで負けていた死者からせしめたものでした。

雨の中。浪人同士が斬り合い、決着が付く。勝利者、逃げ出す。それを見ていた荒巻源内、敗者に近寄る。

荒巻源内
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」

と、横たわる敗者が手にしていた刀を奪おうとするがなかなか手を離れない。

荒巻源内
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」

再び刀を奪おうとし、手から何とか引き離す。そして自身の腰に差していた竹光と交換する。そこに見物人が近寄ってくる。

荒巻源内
「いや違う、違う、この者とは何のゆかりのねぇもんだ、お主強いなぁ。強い強い」

と、逃げ出す。

映画【浪人街 RONINGAI】より

武士らしく自害できない浪人・赤牛弥五右衛門

浪人・赤牛弥五右衛門(勝新太郎)は仕官を願い続けるも叶わず、今は一膳飯屋・まる太の用心棒です。

の腕前はからきしなものの体力には自信があり、武士でありながら殴られ屋も稼業とします。また、一膳飯屋を拠点にする夜鷹達に読み書きも教える一面も持ちます。

貧乏長屋に暮らす日々のなか仕官を願い続ける一方で、現状を憂い自害も考えるも死ぬ勇気も持ち合わせていません。

貧乏長屋の自室。両足で刀を挟み、喉を突こうとする赤牛弥五右衛門。切先が喉に少しふれたところで痛くて離す。死ねずに刀をまじまじと眺める赤牛弥五右衛門。うまく刀を取り扱えず、結局、刀で目の前にいた蝉を殺すことに。そして刀をにしまう。

「(苦笑い)」

鞘に入れた刀を手に苦悩する赤牛弥五右衛門。

映画【浪人街 RONINGAI】より

刀を振るわない浪人・土居孫左衛門

赤牛弥五右衛門と同じ貧乏長屋に暮らすのが元・旗本の土居孫左衛門(田中邦衛)です。

上役の罪をかぶったことで浪人の身となり、今は小鳥を売る貧しい暮らしを妹と続けています。主人のもとに復帰することを日々夢見るもそのためには100両が必要でした。

頭が帰参のことでいっぱいの土居孫左衛門は、仲間の危機でも刀を振るうことは考えません。

一膳飯屋・まる太の主人が殺されたことでまる太に集う荒巻源内、母衣権兵衛、土居孫左衛門。三人で対策を話す。

荒巻源内
「一党は七人、直参旗本、それ以外考えられねぇ」

母衣権兵衛
「いや、七人じゃきかねぇて。旗本だったら卑役でも使用人が二十人以上いるはずですけん、一党が勢ぞろいしたら百人はくだらねぇことや。一人ではさばけんのう」

土居孫左衛門
「わ、わ、わしゃ帰参する身じゃけん、かかわりはもたん、助太刀はでけん」

と、刀を手に去ろうとする。

母衣権兵衛
「何も、おまんに頼んでねぇこって」

映画【浪人街 RONINGAI】より

素直に斬れない浪人・母衣権兵衛

赤牛弥五右衛門(勝新太郎)の親友・母衣権兵衛(石橋蓮司)は試し切りの職によってその日を暮らしています。

その腕前は確かで金には困っていないものの、女性という存在に悩みを抱え、金のためにだけに試し切りすることにはためらいを感じています。

試し切りの場。武士が見守るなか、母衣権兵衛による試し切りが始まる。

見届け人
「我が殿の新しい差し料だ」

刀に水がかけられる。

見届け人
「心して試されよ」

母衣権兵衛、遺体を隠したむしろの前に歩み寄る。

見届け人
「取れ」

むしろが取られる。

母衣権兵衛
「女(あま)ではないか」

見届け人
「今朝方、刑場より引き取ってきたものだ。油がまだ固まっておらぬゆえ、手元が狂わぬようご注意めされ」

母衣権兵衛、上段に構え、遺体を一刀。

見届け人
「お見事! もう一太刀、腰のあたりをお願い致す」

二両が映る。苦悩する母衣権兵衛。

母衣権兵衛
「(怒りが沸き上がり)お手前が斬ってみたらどうだ」

見届け人
「ご承知頂けぬなら残金をお支払い頂しかねるが」

母衣権兵衛、苦悩。構え直して、再び遺体を一刀。

映画【浪人街 RONINGAI】より

その後の黒木和雄<戦争レクイエム>シリーズ

浪人街 RONINGAIでも虚実ない交ぜの演出がなされます。

物語の山場である17分もの大立ち回りの場面で、剣の心得のある母衣権兵衛(石橋蓮司)と土居孫左衛門(田中邦衛)の美しい型のある斬り合いに対し、主人公の荒巻源内(原田芳雄)は疲労を隠さず、ふらふらになりながら喧嘩剣法を続けました。

Blu-ray【美しい夏キリシマ】より

Blu-ray【美しい夏キリシマ】より

その後、黒木和雄は体調不良から一線を離れたのち、10年の時を経て長編劇映画に復活します。

復帰作【スリ】に続いて、TOMORROW 明日を第1作とする戦争レクイエム第2作【美しい夏キリシマ】を監督・脚本します(2003年〔パンドラ〕配給)。同作は第77回キネマ旬報ベスト・テンで日本映画監督賞と日本映画ベスト・テンで1位を受賞しました(2003年)。

以降も戦争レクイエム第3作の井上ひさしの戯曲原作【父と暮せば】、遺作となった松田正隆の戯曲原作【紙屋悦子の青春】を監督し、同作の公開を待たずにこの世を去りました。

戦争体験、学生運動体験を背景に虚実ない交ぜの映像世界を作り続けた黒木和雄。その時代劇映画でも斬ることをためらい続ける登場人物を通じて、この世界のはかなさと、もろさを描き続けました。

著者名:三宅顕人

黒木和雄

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