五月人形の基礎知識

五月人形の気になる「いつから?」にお答え

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日本では古来、四季折々に節目となる年間行事が催され、行事そのもの、あるいはその日のことを「節句」(せっく)と呼んでいます。そのなかでも、現代の日本人にとって最も身近である節句のひとつが、男の子の健康と成長を願う「端午の節句」(たんごのせっく)通称「こどもの日」ではないでしょうか。その際、「五月人形」を飾る家庭も多いですが、お祝いする日が5月5日であることは知っていても、いつから飾り始めていつ仕舞うのか、何歳まで飾っても良いのかといった事柄について、困っている両親や祖父母も多いはず。五月人形にまつわる「いつから?」という様々な疑問について、詳しくお答えします。

五月人形を飾る時期はいつからいつまで?

五月人形(鎧飾り)

五月人形(鎧飾り)

5月5日にお祝いされる端午の節句(たんごのせっく)ですが、五月人形を飾る時期については、必ずこの期間でなくてはならないというような決まりはありません。

また、昔に比べると少なくなりましたが、旧暦の5月5日(現在の6月5日)頃にお祝いする地域もあるため、五月人形を飾る時期について一概に定めることは難しいのです。

しかし一般的には、気候が暖かくなり始める春分の日以降、4月の中頃ぐらいまでに収納箱から出して飾り始める家庭が多く見られます。

忙しくてなかなか時間が取れない場合でも、五月人形を飾るのは、端午の節句の1週間前までに終わらせておくことが大切。組み立てるのに時間が掛かることがあるだけでなく、お正月のしめ飾りなどのように、「一夜飾り」(いちやかざり)を避ける地域も見られるため、端午の節句直前ではなく、余裕を持ってなるべく早めに五月人形を飾るようにしましょう。

時期以外にも、五月人形を飾る際に注意しておきたいのが、その日の天気。甲冑などを模して制作された五月人形は、様々な部位で構成され、その分たくさんの部品が使われています。戦国武将達が合戦の場で身に着けていた本物の甲冑と同じくらい、繊細な造りになっている五月人形が多いのです。

そのため五月人形は、湿度が高すぎたり、逆に乾燥しすぎたりしている環境のもとに置かれると、すぐに傷んでしまいます。これを防ぐために五月人形を飾る際には、天気の良い日に太陽の光とエアコンからの風が直接当たらないような場所に飾ることが大切です。

なお、五月人形を仕舞う時期についても、飾り始める時期と同様に明確には決められていません。しかし前述した通り、五月人形にとって湿気がいちばんの敵となるので、梅雨がまだ始まっていない5月の中頃までには仕舞うようにしましょう。このときにも天気が良い日を選び、収納箱に人形用の除湿剤や防虫剤を一緒に入れておけば、1年後も綺麗な状態の五月人形を飾ることができます。

五月人形を飾る年齢はいつからいつまで?

五月人形を初めて飾る年齢は、生後0歳の初節句であることが一般的ですが、「〇歳まで飾る」という期限は、やはり決められていません。と言うのも五月人形は、子どもに降りかかる災難や厄を引き受ける身代わりとなって欲しいという、両親や祖父母の願いを込めて飾る節句人形だからです。

あえて期限を決めるとするならば、成人式を迎えたり、社会人になるために家を出たりと、子どもが自立したタイミングがそのときなのではないでしょうか。子どもの自立は、親の見守りや五月人形の身代わりがいらなくなったことを意味しているのです。

奈良時代以降、公家や武家の男の子は、現在の成人式に当たる「元服」(げんぷく)を迎えることで「一人前の男性」と認められていました。この元服は、現在の成人とされる年齢よりも若い11~16歳の間に執り行われていましたが、当時はこれをきっかけに五月人形も飾らないようにしていたことが伝えられています。

このような歴史を踏まえると、五月人形を飾るのは現代においても子どもが成人するまでと考えて、そののち供養を行ってから処分するのが良いでしょう。

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赤ちゃんの五月人形はいつから飾り始める?

初節句のお祝い

初節句のお祝い

男の子が生まれ、初節句のお祝いとして祖父母などから贈られることも多い五月人形。

子どもの無病息災と幸せを願う節句人形であるため、ぜひ生後0歳から飾ってあげましょう。

ただし、まだ赤ちゃんであるときに五月人形を飾る場合は、怪我をしたり事故を起こしたりしないように配慮することが大切。

そのなかでも、いちばんに注意したいのが五月人形を飾る場所です。何かの拍子に、重さのある五月人形が赤ちゃんに向かって倒れてくるかもしれません。このようなことを避けるためにも、ベビーベッドなどの近くに五月人形を飾らないようにしましょう。

また、端午の節句をお祝いする「こどもの日」(5月5日)は、大型連休の期間中です。赤ちゃんにとって初節句ということもあり、お祝いの席を設けて、両家の祖父母や親族などを家に招待する家庭が多いかもしれません。

しかし、赤ちゃんが生まれた時期により、まだ体調に不安があったり、母親も体力が回復していなかったりするなど、万全な状態で初節句をお祝いすることが難しい場合には、無理は禁物。初節句が楽しい思い出になるようにするためにも、1年後の子どもの日に改めてお祝いするのが良いのではないでしょうか。

五月人形はいつから飾るようになった?

端午の節句は、古代中国の「陰陽五行説」(いんようごぎょうせつ)と称する思想と、日本における宮中行事が融合してできた風習「五節句」のうちのひとつ。端午の節句における行事そのものは、奈良時代から行われていました。

暦の上で季節が変わる節目である節句の時期には、急な気候の変化などによって病気に罹る(かかる)人や、亡くなる人が多かったことから邪気を寄せ付けやすいと考えられており、季節に合った飾りやお供えをすることで、厄払いをしていたのです。

そして武士が台頭し、武家政権が確立された鎌倉時代以降、端午の節句の時期には、甲冑や兜などを収納箱から出し、室内で飾る慣習が武家のなかでありました。当時の端午の節句は旧暦の5月、すなわち現在の6月頃、梅雨に入る時期に当たります。湿度が高くなっていることから、カビなどによる劣化や損傷を防ぐため、甲冑などの武具に風を通し、補修や整備などを行っていたのです。

このような武家の慣習が背景となり、江戸時代以降、現代の五月人形に見られるような甲冑などの「武者人形」を、男の子の前途を祝して飾るようになったと考えられています。

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五月人形はいつからお店で買える?

店頭に並ぶ五月人形

店頭に並ぶ五月人形

五月人形が店頭に並び始めるのは、早いところであれば2月の終わりごろ。

ただしこの時期はまだ、3月3日の「桃の節句」に飾る「雛人形」をメインにしているお店が多いので、豊富な種類のなかから選びたい場合は、桃の節句直後の時期に購入するのがオススメ。

お店に直接行くのはもちろん、カタログやインターネットによる通信販売を実施しているお店もあります。

また、「伝統工芸品」でもある五月人形は、手作りであるため大量には生産できず、自宅への配送にも1週間程度、またはそれ以上掛かることもあります。そのため、購入時期を検討する際には、端午の節句を祝う日を考慮しながら、遅くても4月中旬頃までには五月人形を選ぶようにしましょう。 

「五月人形とは」YouTube動画

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五月人形の気になる「いつから?」にお答え

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五月人形店一覧(全国)

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端午の節句の由来と五月人形

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現代では男の子が誕生すると、名の知られた武将達所用の甲冑を模した「五月人形」を兜や太刀などと共に、「端午の節句」(こどもの日)に飾る風習があります。現代でも「年中行事」のひとつとしてお祝いされる端午の節句ですが、そもそも端午の節句の始まりは、どのようなことに由来しているのでしょうか。時代と共に変化してきた端午の節句について、過去にさかのぼってその変遷を見ていくと共に、端午の節句と五月人形の関係についてもご説明します。

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五月人形と鯉のぼりの由来

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「端午の節句」(たんごのせっく)として知られる「こどもの日」は、男の子の成長を家族みんなでお祝いする日。そのお供えには柏餅や粽(ちまき)がありますが、いちばんの主役は、何と言っても「五月人形」と「鯉のぼり」。どちらも、こどもの日には欠かせない端午の節句のお飾りですが、屋内と屋外といった飾る場所だけでなく、それぞれに込められた意味と役割にも大きな違いがあるのです。もともとは宮中行事であった端午の節句について、その変遷を解説すると共に、五月人形と鯉のぼりそれぞれに異なる由来などについてもご説明します。

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五月人形は誰が買う?地域差や注意点も解説

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男の子の健やかな成長を願って祝われる5月5日の「こどもの日」。「端午の節句」(たんごのせっく)とも呼ばれるこの日には多くの家庭において、「鯉のぼり」と共に「五月人形」が飾られます。生まれてから初節句となる場合には、この五月人形を準備することになりますが、「いったい誰が買うのが良いの?」、「購入するときに注意することはある?」といった、様々な疑問を持つご両親もいるのではないでしょうか。そんな疑問にお答えすると共に、初めて五月人形を購入する際の注意点なども併せて解説します。

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五月人形のお下がりがダメな理由

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男の子が生まれると、「端午の節句」(たんごのせっく)のお祝いに贈られることが多い「五月人形」。しかし、すでに男の子の兄弟が他にいる次男や三男であったり、父親の五月人形が残っていたりする場合、「お下がりの物で良いのでは?」と考える両親や祖父母もいるのではないでしょうか。しかし、五月人形などの「節句人形」は基本的に、お下がりの物を用いることは良くないとされているのです。五月人形のお下がりがダメな理由について、様々な側面から解説します。

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五月人形の飾り方と飾る場所

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「五月人形」は、5月5日の「こどもの日」にお祝いする「端午の節句」(たんごのせっく)に欠かせない「節句人形」。そのなかで、「鎧飾り」や「兜飾り」といった五月人形の種類、大きさなどによって、適切な飾り方が異なるのはご存じでしょうか。五月人形の飾り方を詳しく解説すると共に、飾る場所についても現代の住宅事情を踏まえてご説明します。

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五月人形の処分方法を徹底解説!

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男の子の健やかな成長を願って、「端午の節句」(たんごのせっく)のお祝いに飾られる「五月人形」。生後0歳で迎える「初節句」から毎年飾られる節句人形ですが、子どもの年齢が上がるにつれて、端午の節句を盛大にはお祝いしなくなり、飾る機会が少なくなってしまうのが実情。その結果、家庭によっては五月人形を手放すことを考えるようになりますが、その適切な処分方法やタイミングについて、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。いくつかある五月人形の処分方法についてご説明すると共に、大切な五月人形をそのまま処分するのは憚られる(はばかられる)という人のために、五月人形の供養方法についても解説します。

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