日本刀を所有する

日本刀の飾り方

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日本刀を持つことになったら、飾り方、保管の仕方など、正しい知識が必要になります。通常、博物館や美術館では刀身(とうしん:抜身)のみ、もしくは刀身と拵(こしらえ:日本刀の外装のことで、鞘、柄、鍔を指す)の両方を展示します。では、自宅で日本刀を扱うための作法とはどんなものでしょうか。自宅での正しい飾り方や、保管の仕方、そして楽しみ方をご紹介します。

自宅での基本的な飾り方

自宅で飾る場合、通常は刀身や刀身入りの拵ではなく、拵だけを「刀掛け」に飾るのが一般的です。日本刀を飾る際、当然刀身も飾ると思っていた方も多いことでしょう。

しかし、刀身はとてもデリケートで、傷みやすいため「白鞘」(しらさや:刀身の長期保管に適した木製の鞘)に入れて保管するのが通常です。刀身を鑑賞するのは、手入れをするときや特別な日だけとした方が良いでしょう。

また、日本刀には表と裏がありますが、日本刀を飾る際には、表を前に向けて飾らなければいけません。刀身には「」を打っている面があるので、そちらが表です。

太刀の飾り方
太刀の飾り方

太刀の飾り方

太刀」を、自宅で刀掛けに飾る場合に、覚えておきたい正しい作法があります。太刀を横向きに飾る際は、(つか:日本刀の持ち手)が左、「鋒/切先」(きっさき)を右に、正面から観て「Uの字」になるように飾りましょう。

こうすることで、刃が「下向き」になり、銘が表に現れます。これが「佩表」(はきおもて)です。また、太刀は拵を縦向きに飾ることもあります。その場合は、柄を下、鋒/切先を上、刃は支え側へ向けること。

柄を下にすることで、鋒/切先に油が流れることを防ぐことができる理にかなった飾り方です。なお、打刀は立てて飾る習慣がありません。

打刀の飾り方と置き方
打刀の飾り方

打刀の飾り方

打刀を横向きに飾る際も、柄が左、鋒/切先を右にします。

正面から観て「ゆるやかな山形」になるように飾りましょう。こうすると、刀身の刃は「上向き」になり、銘が表に現れます。これを「差表」(さしおもて)と言います。

太刀と打刀の刃の向きは、それぞれを身に着ける際と同じなので、覚えやすいでしょう。

日本刀を飾る際、一番注意したいのは柄の向きです。古来、戦時と平時(へいじ:戦がないとき)では逆に飾る習慣がありました。つまり、飾り方の作法を間違えることで戦時と同じ意味合いを持つことになるのです。

また、座る際には、日本刀は自分の右側に置く(右置き)が一般的。これは、誰かと座を共にしている場合、相手に対して敵意がないことを示す重要な意味を持ちます。

もし、間違えて日本刀を左側に置いてしまうと、相手に対して無礼であり、敵意があるとみなされても仕方のない行為でした。

大小二本差の飾り方
大小二本差し

大小二本差し

刀掛けに掛ける「数」についての作法は、特にありません。

ただ武士は、江戸時代前期に「大小二本差」を義務付けられ、また町人も脇差を1本だけ差すことが許されていたことから、武士を先祖に持つ家では「二本掛け」、商家では「一本掛け」に飾ることが多かったと言います。

諸説ありますが、二本掛けの場合は、上段に脇差、下段に打刀を掛けるのが正しい装着方法。これは、大小二本差の名残り。

武士は外出する際、まずは脇差(小)を帯に差し、その次に打刀(大)の刃を上にして帯に差し込むという順番で帯刀しました。つまり、脇差(小)が上段にあるほうが、日本刀を装着しやすい状態であり、それに適した飾り方だったと言えます。

現在は、日本刀のコレクターが多いことから、刀掛けの種類も豊富。1~2本掛けだけではなく、15本掛などの「多刀掛け」タイプも流通しています。

日本刀を飾るおすすめの場所

床の間

床の間

床の間

和室がある場合は、和室の「床の間」(とこのま)に飾るのが一般的です。日本刀を飾るだけで、格式高い印象の部屋になります。床の間とは、日本建築において、掛け軸、花などを飾るために床部分を一段高くしているスペースのことです。

通常、和室の客間などに設けます。「床に就く」という言葉があるように、床の間には「寝る部屋」という意味があり、奈良時代は身分の高い貴族が座ったり、寝たりする場所でもありました。

室町時代に「書院造」(しょいんづくり)が完成し、床の間が武家にも広まります。江戸時代には、「お客様を迎える最上の部屋」として一部の庶民の住宅にも作られ、明治時代以降は、庶民の住宅にも作られるようになりました。

洋間の場合

日本刀を飾るのに適している場所が、床の間であると言っても、現代では西洋風の建築やマンションの出現など、庶民の住宅環境が多様化し、床の間どころか和室のない家も多いです。

その場合は、まず日本刀を横向きに置けるスペースを確保します。基本的に、日本刀を横向きに置けるのであれば、どこでも構いませんが、洋間のサイドボードの上などもおすすめです。

ただし、高さがある場所に設置する場合は、万が一落ちてしまわないような対策をする必要があります。

ディスプレイケースを活用

刀剣ディスプレイケース

刀剣ディスプレイケース

刀身は、非常にデリケートで湿度の調整が難しく、空気に触れる状態にしていると簡単に錆が付くなど傷んでしまうことから、自宅に飾ることは難しいとされていました。

しかし、最近では、日本刀を鑑賞して楽しむための専用ケース「刀剣ディスプレイケース」が登場し、「刀身を安全に飾れる」として話題です。

この刀剣ディスプレイケースがあれば、面倒な管理が格段に楽になります。ケース内に調湿剤を入れることができるので、湿気対策も万全。日本刀を長期間飾っていたとしても、錆びてしまうリスクを低くすることができます。

日本刀を飾らないときの正しい保管方法

白鞘に入れて保管
白鞘・刀袋

白鞘・刀袋

日本刀にとって拵は、よそ行きの着物と同じです。そのため、日本刀にとっての休憩時間である保管時には、刀身が錆付かないよう、普段着である白鞘に着替えさせなくてはいけません。

白鞘の木材は湿度に敏感で、刀身の湿気を吸収してくれる作用があるため、白鞘の中に入れた日本刀は、錆付きにくくなります。

さらに、白鞘を「刀袋」に入れて「刀簞笥」(かたなだんす)に収納すれば、湿度の変化や日光に弱い日本刀を守ることができますが、もし、自宅に専用の刀簞笥がない場合は、普通の簞笥に収納しても大丈夫です。

押入れの奥にはしまわない
日本刀を保管する上で、絶対に避けたいのは、「押入れの奥」にしまうこと。

実は、押入れの奥は湿気がもっともたまりやすい場所となっています。また、樟脳(しょうのう)などの防虫剤は、錆の原因になるので使用するのはやめましょう。

まとめ

日本刀を手に入れたのであれば、毎日、鑑賞したいものです。けれど日本刀は、適切な作法に則って飾る必要があります。飾る場合は、拵や、ディスプレイ用ケースなどの用意、飾らない場合は白鞘に入れるなどの管理が重要。今回、ご紹介した飾り方と保管方法を参考に、自宅で日本刀の鑑賞をしましょう。

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