忍者のイメージと実像

海をわたるNINJA(海外の忍者像)

文字サイズ

日本国内では頻繁に映画やアニメで取り上げられ、子どもから大人まで知らない人はいないであろう「忍者」の存在。では、海外の人々には、忍者はどれほど知られていて、どのような存在だと認識されているかご存知でしょうか?海をわたるNINJAでは、海外での忍者の知名度や、どういったイメージで捉えられているかなど、海外の「NINJA」像をご紹介します。

海外でも高い知名度を持つ忍者

忍者のコスプレをする外国人

忍者のコスプレをする外国人

実は、日本人が思っている以上に忍者は海外で高い知名度を誇っています。

クールジャパンコンテンツとして忍者の存在を世界に発信する団体「日本忍者協議会」が、2017年に国内と海外10ヵ国で実施したインターネット調査では、海外全体平均で98.7%が「忍者を知っている」または、「名前を聞いたことがある」と回答。

この調査には中国や台湾、タイといったアジア諸国だけでなく、アメリカやドイツ、オーストラリアなども含まれており、アジア圏に留まらない忍者の浸透具合が確認できます。

「忍者がまだ現存していると思うか」という問いでは、海外の6割以上が「現在も存在している」と回答したという興味深い結果も出ています。

特にアメリカでは「現在も多数存在している」が41.2%、「数は少なくなったが現在も存在している」も32.5%と、4分の3近い人が忍者が現存すると回答。同国はさらに「忍者になりたいと思うか」という問いにも、46.4%が「本格的なトレーニングを受けて忍者になりたい」と回答するなど、アメリカ国内での忍者のイメージは「現存するプロフェッショナルな職業」として認識されているようです。

では、世界中で忍者がこれほど高い知名度を得られているのは、何が要因なのでしょうか?一説には、1981年にアメリカで公開された映画「燃えよNINJA」がきっかけだと言われています。

この作品でアクション俳優「ショー・コスギ」が熱演した忍者の姿が全米で大ヒットし、アメリカ国内で忍者の知名度は急上昇。秘密裏に活動する忍者の神秘性や、任務を忠実に遂行する日本人らしい堅実な精神に魅せられ、忍者を題材とした映画がアメリカに限らず世界各地で作られるようになっていったのです。

2015年にはショー・コスギの長男「ケイン・コスギ」も忍者役としてハリウッド映画「ニンジャ・アベンジャーズ」の主演を務めるなど、忍者という存在は今なお根強い人気を誇っています。

海の向こうで独自進化を遂げるNINJA

燃えよNINJA、ニンジャ・アベンジャーズなど、映画では超人的な身体能力を有し、派手な格闘アクションを繰り広げ、一瞬でターゲットを暗殺する冷酷な存在として登場する忍者。

こうした描写からは、忍者本来の諜報活動を主としたスパイのような役割よりも、白兵戦(刀剣などを使った近接戦闘)・暗殺を専門とした戦闘のプロフェッショナルとしてのイメージが強く見て取れます。

さらに世界中で愛される忍者アニメ「NARUTO」をはじめとしたアニメや漫画では、口から火を噴いたり、何人にも分身したり、唐突に動物を出現させたりと、映画以上に人間離れした魔法のような技を使うフィクションの忍者達。これらのイメージが混ざり合って世界に広まり、今日のNINJA像へと進化していったと言えます。

さらには様々な武器を使いこなす達人という印象から、ヌンチャクやトンファーといった、本来忍者が使っていなかったような武器を使うことも特徴のひとつ。東洋的な武器であればなんでも持たせる傾向があるのも欧米流です。

こうしたNINJAに対する認識の影響が色濃く反映され、カメが忍者となって異星人と戦う「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」や、真っ赤な忍び装束を着て他の忍者を倒し続ける忍者を描いた「ニンジャスレイヤー」などの人気作品も生まれています。

他にも日本で人気のスポーツ番組「SASUKE」の海外版が、欧米では「Ninja Warrior」という番組名で親しまれています。その人気は、2016年にアメリカで開催された大会の公式動画が、わずか4日間で1億回を超える再生回数を記録するほど。

自身の肉体だけで様々な難関コースをクリアしていく選手達の姿が、超人的な身体能力を持つ忍者を連想させ、海外でも強い支持を得ています。

「忍者になりたい」外国人が急増中

前述の日本忍者協議会のアンケートでは、海外で忍者を知っている人のうち約50%が「忍者になりたい」と答えるほど、忍者が世界的に高い関心を持たれていることが明らかになりました。その関心の高さは、「おもてなし武将隊」(全国各地で、戦国武将に扮して各地域の情報発信やPR活動を行なう団体)のひとつ「徳川家康服部半蔵忍者隊」のオーディションにも表れています。

2016年に常勤化に伴うメンバー募集のオーディションを開催すると、フランスのAFP通信を皮切りにイギリスのBBC、アメリカのCNNなどが相次いでオーディションの存在を報道。

この「忍者募集」のニュースが予期せず世界中に知れ渡ることとなり、応募総数235人のうち実に200人が海外からの応募となるなど海外からの応募者が殺到する事態に。忍者のワールドワイドな人気の高さを証明することとなりました。

また、オーディションでは日本人6人・アメリカ人1人の計7人が選出され、「外国人忍者」の誕生が話題となりました。さらにこの武将隊や日本忍者協議会など、多くの団体がクールジャパン文化として忍者の魅力を世界各地に紹介しています。

日本国内でイベントを開催して発信するだけでなく、実際に海外へと足を運び現地でのPR活動を精力的に展開。忍者という存在を身近に感じてもらい、新たな忍者ファンを獲得する取組みが盛んになっています。

2019年には、バーチャルリアリティを使った臨場感のある忍者体験が可能な、外国人旅行客向け施設「VR忍者道場」が東京にオープン。参加者は忍び装束を着用し、忍者に扮した先生の指導で忍者刀や手裏剣などを修行。最後にVR空間で妖怪を討伐し免許皆伝を目指します。驚くことにこのサービスは、日本国内に店舗を構えながらもホームページは英語表記のみ。

外国人をメインターゲットとしていることが窺えます。過去にも忍者の修行が体験できる忍者道場は多くありましたが、最新技術を用いることで今まで以上に臨場感のある体験が可能になってきています。

こうした、外国人旅行客に日本文化を知るだけでなく体験してもらう「コト消費」(商品の所有に価値を持たせる消費傾向[モノ消費]に対する、商品やサービスの購入で得られる体験に価値を持たせた消費傾向)の技術の進化が、日本を訪れ「忍者になりたい」と考える人々の夢を叶えることに貢献しています。

また海外でも、忍者の修行を行なう道場が多数存在。イランでは護身術として忍術を指南する道場が人気となっていて、門下生達が日々修練を積んでいます。

その背景には現地の悪化する治安があり、自分の身を守るため身の回りの道具を武器として使う方法や素手での格闘術の習得を希望する人々が増加。

門下生には女性も多く、4,000人を超える「くノ一」が誕生。図らずとも、敵を倒すよりも身を守り生き延びることを重視する、忍者本来の姿に合致した忍術道場が日本から遠く離れたイランで生まれています。

日本を飛び出し、海外のイメージを付加しながら進化を続けてきたNINJA像。日本国内の忍者とはまた違った存在ながら、どちらも「人並み外れた身体能力と摩訶不思議な忍術を用いて確実に任務を遂行する」という根本は共通しています。

現在もクールジャパンの柱のひとつである忍者ですが、2019年には日本忍者協議会が「NINJA NIPPON PROJECT」と銘打ち、外国人旅行客に忍者体験をしてもらう「忍者ツーリズム」の促進を図るプロジェクトもスタート。

これからは、多くの人が忍者とNINJAの魅力に触れ今まで以上に多くの忍者ファンが生まれる世の中になるのかもしれません。

海をわたるNINJA(海外の忍者像)

海をわたるNINJA(海外の忍者像)をSNSでシェアする

「忍者のイメージと実像」の記事を読む


忍者の成り立ち

忍者の成り立ち
忍者は、室町時代から江戸時代に大名や領主に仕え、戦においては独立部隊として諜報活動、破壊活動、浸透戦術(強力な少数部隊を作って、部分的に攻めていく戦術)、謀術(ぼうじゅつ :相手を油断させて、隙を作り出す)、暗殺などを行なう役割を担っていました。日本で有名な忍者としては伊賀忍者、甲賀忍者などが挙げられます。

忍者の成り立ち

忍者の役割

忍者の役割
「戦国時代や江戸時代に忍者がどんな活躍をしていたか」と聞かれたとき、みなさんはどのような姿を想像するでしょうか?黒い忍び装束で闇夜にまぎれ、屋根の上を走り回って敵の城に忍び込み、悪事を企む密談に聞き耳を立てる。敵に出会えば手裏剣や忍び刀で戦闘し、劣勢と見るや煙幕を張って煙のように消えて逃げ失せる。しかしこのイメージの多くは後世に生まれた創作で、実際には町中を歩き回ったり敵を見たら戦わずに逃げたりすることが忍者には求められていました。

忍者の役割

創作上の忍者

創作上の忍者
歴史と創作の狭間にある謎の存在「忍者」。戦国時代には、数多く実在したとされていますが、その実像は定かではありません。江戸時代には、「賊禁秘誠談」(ぞくきんひせいだん)に登場する「石川五右衛門」(いしかわごえもん)や「百地三太夫」(ももちさんだゆう)、同時代の読本(伝奇小説)や歌舞伎狂言に登場する「自来也」(じらいや)などが忍者として創作されました。また、800年代に遣唐使として密教を持ち帰った空海をはじめ、実在した人物の中でも実は忍者だったのではないかと語られている人物もいます。創作上の忍者では物語や歌舞伎などで創作された忍者の他、歴史上に実在しながらも実は忍者であったとされている人物をご紹介します。

創作上の忍者

注目ワード
注目ワード