コスプレの基本

戦国武将コスプレのポイント

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コスプレを楽しんでいる人も、そうでない人も、「1度は着てみたい!」と憧れるのが、戦国武将の衣装ではないでしょうか。男女共にかっこ良く変身できるところが「戦国武将コスプレ」の魅力です。「織田信長になってみたい」、「何と言っても真田幸村」、「ちょっと渋く、立花宗茂にも憧れる」など、なりたい武将も人それぞれ。個々のキャラクターに思いを馳せて、憧れの武将になり切るのも面白さのひとつです。戦国武将コスプレを、気軽に、また本格的に楽しむための基本的なポイントをご紹介します。

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ファッション的にも「乱世」だった戦国時代。
だから「戦国武将コスプレ」は面白い!

戦国武将の衣装のイメージとしてすぐに思い浮かぶのは、甲冑姿。そもそも戦国時代の衣装、ファッションとはどのようなものだったのでしょうか。戦国武将コスプレを楽しむために、まずは基本的な知識から見ていきましょう。

下着が表着(上着)に昇格

戦国時代は、おおよそ室町時代中頃~安土・桃山時代を指します。「室町幕府」の権力が衰退するなか、有力武士達が各地で勢力を張り、天下統一を目指そうとした群雄割拠の時代です。

身分の低い者が上位の者を政治的・軍事的に倒して権力を奪取する下克上も当たり前。つまり戦国時代は、既存の価値観や常識が目まぐるしく変化した時代なのです。

そんな乱世の様相は、ファッションにも現れます。大きな特徴は、室町時代までは重厚な装束を着ていた公家や武家の下着として見なされていた「小袖」(こそで:現代の和服の原点)が、表着(上着)として用いられるようになったこと。男性も女性も、また武家も庶民も、小袖を主に身にまとって生活するようになったのです。

武士のアクティブな活動着「肩衣」が登場

肩衣袴スタイル

肩衣袴スタイル

戦国時代に武士の日常着として台頭してきたのは、小袖の上に「肩衣」(かたぎぬ)と「袴」(はかま)を組み合わせて着る「肩衣袴」(かたぎぬばかま)スタイル。

肩衣とは、袖のない上衣で、今で言うベストのような物です。原型は、庶民の労働着として、かなり前から存在していました。

武士はそれまで袖のある上衣を着用することがほとんどで、肩衣が武士の出仕着(しゅっしぎ:勤めに出るときの服装)や日常着として普及し始めたのは、室町時代末期頃と言われています。

肩衣が流行した経緯には諸説ありますが、ひとつには軽快で動きやすいところ。武士の新しい日常着として、シンプルかつアクティブなファッションが誕生したのです。

なお、江戸時代の「裃」(かみしも)は肩衣袴と同じに見えますが、裃は戦乱の世でなくなったあとに肩衣袴が進化した物。肩衣よりも肩幅を広く取りピンと張った点に特徴があります。

戦国武士スタイルのコスプレを楽しむなら、当時のトレンドファッション、肩衣袴姿に挑戦するのもオススメです。

カラフルさは、日本の歴史上随一!?

戦国ファッションのもうひとつの特徴は、色とりどりの衣装を楽しめるところ。

明智光秀

明智光秀

戦国武将のひとり、「明智光秀」(あけちみつひで)を主人公にしたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」では、色鮮やかな衣装が話題になりました。

これは単にテレビ映えを意識したわけではなく、戦国時代辺りから衣装がカラフルになったという時代考証に基づいています。戦国時代の衣装がカラフルだったという事実は、経年変化により色落ちした当時の絵画をCGなどで復元したものにより実証されているのです。

ではなぜ、戦国時代に衣装がカラフルになったのでしょう。まず、16世紀になり、新たな染織工芸が生み出されていったという下支えがありました。また、下克上が当たり前の乱世の空気、風潮が大きく影響して、それまで抑え付けられていたものが溢れ出し、既存の価値観や常識が大きく変化したと考えられています。

表着となった小袖には、様々な技法で多種多様な図柄が描かれるようにもなりました。「戦国時代は日本のおしゃれのはじまり」と考えている歴史家もいるほどです。

乱髪天衝脇立兜

乱髪天衝脇立兜

しかし、現代の常識では、戦いが続く中で目立つのは厳禁に思えます。ところが、衣装のカラフルさだけでなく、戦国武将の兜ひとつをとっても目立つ工夫が数多く見られます。これは、戦国時代は「論功行賞」(ろんこうこうしょう:功績の大小に応じてふさわしい賞を与えること)が重視されていたため、自分の活躍を大将や他の武将達にアピールする必要があり、目立つことが何より好まれたからです。

また、目立てば当然狙われますが、それは覚悟がある証。戦国武将達は、武士の気概を戦場で見せ付けたのです。

戦国武将コスプレの楽しみ方として、時代背景をもとに思い切り個性的に、あるいはカラフルに演出してみるのも手。戦国時代の風潮はしっかり反映しつつ、オリジナリティ溢れる戦国武将コスプレを楽しみましょう。

戦国武将コスプレ(ファッション)の基本スタイルを押さえよう!

戦国武将コスプレのベースとなる基本アイテムを見ていきましょう。

戦国武将コスプレ基本アイテム

小袖(こそで)

戦国時代の様々な服装のベースとなった小袖は、着物のルーツでもあります。しかし、着物との大きな違いは次の2つです。

身幅が非常にゆったり
戦国時代の座り方は、正座ではなく、あぐらや膝を立てるなどのワイルドなスタイル。そこで、座ったときに前がはだけてしまわないよう、小袖の身幅をたっぷり取ってあったのです。肩衣袴姿のコスプレでかっこ良く決めたい場合は、身幅をゆったり取った衣装を選ぶことがポイントと言えます。

小さめの袖
小さめの袖

小さめの袖

小袖とは広袖に対する言葉で、袖口を狭く仕立てた物。

袖の長さは肘が隠れる程度で、下はカーブを描いたような形でした。「薙刀」(なぎなた)に似ていたことから「薙刀袖」とも呼ばれます。

小袖は、基本的には男女間の区別はありません。洋装では、男性は「右前」(左が前にくる)、女性は「左前」(右が前にくる)ですが、和装では、男女とも右前です。

また、和装の場合、左前は亡くなった人が着る死装束となるので、着付けの際はくれぐれも注意しましょう。

なお、女性は、小袖に帯を巻いてワンピースのように着用。帯は男女共、紐のような細帯が主流で、武士の場合、この小袖の上から肩衣袴と袴を着用していました。また、当時から小袖の重ね着を楽しむ文化もあったと言われています。

袴(はかま)

和装における唯一のボトムス、袴。戦国時代、基本的に袴をはいていたのは男性でした。戦国武将達は、甲冑の下にも裾を絞った袴をはいており、袴は戦国武将コスプレのベースとして欠かせないアイテムです。ここでは、袴の基本的なはき方を見ていきましょう。

袴の基本的なはき方

袴の基本的なはき方

  1. 袴は、前を「前腰」、後ろを「後ろ腰」と呼びます。まず袴をはき、前腰の紐を後ろで交差させて前へ持ってきます。袴コスプレなら、袴の後ろを膨らませることがかっこ良く見えるポイント。袴の下に着た小袖の帯を、腰の後ろでボリュームを持たせて結ぶと自然な膨らみが生まれます。
  2. 前に持ってきた紐を正面で交差し、再度後ろに回して、小袖の帯の下で結びます。
  3. 後ろ腰の紐を前に持ってきます。持ってきた紐の左右どちらかを前紐が交差した下を通して、前で結びます。

結んだ紐の余りは1番下の紐ではなく、上の紐に挟みましょう。これが、着崩れしないポイントです。

戦国武将コスプレ基本アイテム

甲冑(かっちゅう)

戦国武将と言えば、やはり甲冑姿が1番に思い浮かぶのではないでしょうか。甲冑は、胴体を守る鎧と、頭部を守る兜からなる防具で、武器の変化とともに甲冑も変化していきました。

日本で初めて実戦で鉄砲を用い、成功したのは、1575年(天正3年)の「長篠の戦い」(ながしののたたかい)における「織田信長」です。

鉄砲や槍が主力武器となったころから、シンプルかつ動きやすさを突き詰めた、機動力抜群の「当世具足」(とうせいぐそく)が登場します。「当世」とは現代風を意味し、「具足」はすべて揃っているということ。

当世具足は、身体を隙間なく包む形式で、小さな防具も完備した、甲冑の全身セットと言える物です。随所に様々な工夫が施されており、当時の戦場において革新的スタイルでした。

戦国武将コスプレに役立つ、当世具足の構成は次の通りです。

当世具足の各部の名称

当世具足の各部の名称

「兜」(かぶと)
三日月形の立物

三日月形の立物

戦国時代の兜は、頭部を守るだけでなく、武将の威容を演出する重要なアイテムでした。

戦国武将達は、この兜にそれぞれのオリジナリティを存分に表現したのです。

立物」(たてもの)と呼ばれる兜の飾りも多種多様。また、鉢の形そのものを変わった形にデザインした「変わり兜」も、数多く現存しています。

兜は、戦国武将コスプレでも最もオリジナリティを出しやすいアイテムとも言えるでしょう。好きな武将の兜姿を真似してなり切ったり、自由に発想して自分だけの兜を創作したり、兜だけでもたくさんの楽しみ方があります。

「面頬」(めんぼお)
面頬

面頬

面頬は顔面を守る防具で、主に顎までを覆う半頬、鼻までを覆う目の下頬、顔全体を覆う総面(そうめん:フルフェイス)の3つのタイプがあります。

戦国武将「仙石秀久」(せんごくひでひさ)の家臣「谷津主水」(やつもんど)が、「大坂夏の陣」で実際に着用した面頬は、猿を模したデザインで有名です。「災いが去る」と、動物の「猿」を掛けて、戦場における魔除けの意味を持って作られました。

様々な表情を表現できる面頬は、戦国武将コスプレをより楽しむのにピッタリのアイテム。コスプレ用としては、和紙などを重ね貼りしたり、紙粘土で形成したり、手作りでオリジナリティを発揮しても良いでしょう。

「胴」(どう)
腹巻

腹巻

胴は、当世具足が登場するまで、「胴丸」(どうまる)や「腹巻」(はらまき)と呼ばれ、鉄や革製の「小札」(こざね:小さな板)を、1枚ずつ紐などで綴じ合わせるという、非常に複雑で手間が掛かる物だったのです。

当世具足の画期的なポイントは、小札の横1段を1枚の板で作る「板札」(いたざね)が生み出されたこと。制作の簡略化と共に、一枚板であるため、槍や鉄砲への防御力もアップしました。

甲冑着付け体験などで戦国武将コスプレを楽しむ際は、ぜひ胴の作りにも注目してみましょう。

「籠手」(こて)と「袖」(そで)
籠手

籠手

籠手は腕全体を、は肩から二の腕を守る防具です。

戦国時代初期、による攻撃を防御する盾の役割をしていた袖は、大型化していきました。しかし、当世具足では、自身の腕の動きを邪魔しないようにシンプルかつ小さめとなったため、「当世袖」とも呼ばれます。

当世具足が主流になると、籠手だけを付け、袖を付けない武将もいました。

コスプレで当世具足スタイルを行なう場合、籠手だけでも十分クール。籠手は、土台の布に細かい鎖や細長い鉄板などが縫い付けられた物なので、着なくなったシャツの袖部分を活用するなどして、手作りするのもおススメです。

佩楯(はいだて)と臑当(すねあて)
佩楯

佩楯

佩楯は、「草摺」(くさずり:胴の裾に垂れた下半身を防御する部分)と「臑当」(すねあて)の間を守る防具で、前掛けが2つに分かれたような形をしています。臑当は膝から足首までを守る物です。

佩楯はのれん、臑当はハイソックスなどを使えば、当世具足風にアレンジ可能。身近にある物で代用してみましょう。

履物(はきもの)

履物(革足袋)

履物(革足袋)

戦国武将コスプレをする上で、おろそかになりがちなのが履物です。合戦時に使用されていたのは鹿の皮で作った足首まである「革足袋」(かわたび)と「草鞋」(わらじ)。

コスプレでは、革足袋と形が似ている「地下足袋」(じかたび)を使う人がほとんどですが、革に見える足袋なども販売されているので、好みに合わせて選びましょう。

刀剣

太刀を佩く

太刀を佩く

戦国コスプレにぜひ取り入れたい小物は、やはり刀剣類でしょう。もちろん、安全性に配慮して身に着けることを大前提に、戦国武将コスプレをかっこ良く決めるポイントは、刀剣類の身に着け方にあります。

刀剣には、「打刀」(うちがたな)と「太刀」(たち)がありますが、「打刀は差す」、「太刀は佩(は)く」と言われるように、この2つの身に着け方は異なります。

戦国武将コスプレ初心者の場合、から刀を抜き、ポーズを決めたあと、戻し方が分からなくなったという失敗談もよく耳にします。そこで、「打刀は凸面(刃)を上向きに差す」、「太刀は凸面(刃)を下向きに吊るす」と覚えておきましょう。

憧れの武将に変身するためのコスプレポイント

憧れの武将になり切るには、武将が着用していた甲冑を身に着けることが1番です。とは言っても、本物やレプリカの甲冑を個人で入手し、所有するのは簡単ではありません。

しかし、最近では本格的な甲冑コスプレが楽しめるコスプレスタジオなどもあり、いろいろな武将モデルの甲冑が用意されています。そういった場を活用するのもひとつの手。

ただし、武将になり切る1番のポイントは、何と言っても人物像をよく知ることです。本格的な甲冑を身に着けても、立ち居振る舞いでかっこ良さは大きく変わってきます。

史実や人物を知ることで、「この武将ならきっとこういう振る舞いをするだろう」と、自分なりに想像して動くだけでも、コスプレをする面白さがグンとアップするのです。

「お金をかけずに武将コスプレを楽しみたい」、または「何度も戦国武将コスプレを楽しみたい」なら、基本的なスタイルの兜や胴部分だけを入手して、あとは手作りするのもおススメ。甲冑の色や兜の飾りなど、その戦国武将の特徴を知り、その部分のみを手作りで加えるだけでも、見る人に強いインパクトを与えることができます。工夫次第で何倍も楽しくなる戦国武将コスプレにぜひチャレンジしてみませんか?

戦国武将コスプレのポイント

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