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コスプレ用の忍装束・頭巾の作り方

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「忍者」は、日本のみならず海外でも絶大な人気を誇っており、日本を訪れる外国人の多くが、忍者の里を訪れて、忍者が着ていた装束を自分達も着て写真に収めることを楽しみにしています。日本では、明治時代末期の頃から忍者を主役とした小説や時代劇が人気を集めており、人知れず大きな仕事を成し遂げる忍者は、今なお人びとにとって憧れの対象です。
驚くことに「忍者」という名が定着したのは、昭和30年代になってからで、それまでは「忍び」(しのび)と呼ばれていました。忍びが着用した衣装のことを「忍装束」(しのびしょうぞく)と言います。忍装束は、コスプレイヤーにとって侍の小袖姿や武将の甲冑などと並んで人気の高い衣装のひとつ。器用なコスプレイヤーは、自らの手で忍装束を作りますが、果たしてどうやって作っているのか。今回は、忍装束の作り方をご紹介します。

忍者が身にまとう「忍装束」ってどんな衣装?

忍者

忍者

忍者は、人目に付く昼間は変装し、人目が付きにくい夜になると「忍装束」姿で身を潜めながら敵方に潜入して、諜報・謀略活動などを行ないました。そのため、「忍者の活動」と言えば「夜、黒色の衣装で音を立てずに駆け回る」と言うイメージを思い浮かべがちです。

しかし、実際には黒色ではなく紺色、あるいは柿色の忍装束を着ていました。なぜ黒色ではないかと言うと、夜は月や星などの明かりがあるためです。夜闇に潜むとき、黒色は少し浮いて見えて、かえって目立ってしまいました。

また、江戸時代やそれ以前の日本では、衣料を黒く染める技術がそれほど発達しておらず、高価で裕福な上流階級しか黒色の衣装を着ることができなかったという背景も理由のひとつ。

なお、紺色に染める際の「クレ染め」は、虫が苦手な酸味がかった匂いによって防虫効果があったと言われており、こうした理由から黒色の忍装束は着用されていませんでした。

本来の忍装束は、色合いと共に走りやすく体にフィットする、空気抵抗を抑えたデザインとなっていました。武士が着用する和装と比べても、その差は一目瞭然。現代で言うと、スーツとスポーツウェアほどの違いがあります。

また、忍者が履いていた足袋の先端は、2つに分かれていた上に底が薄いことから、足場の感覚が伝わりやすいという利点がありました。

さらに、忍装束の下には刃物を通さないように「鎖帷子」(くさりかたびら:金属製の鎖を編んで服のようにした防具)を身に付けることで、甲冑を身に付けない代わりに、最低限の防具で備えていたのです。

また、上衣(うわぎ:忍装束の一番上に着る羽織り)には、ポケットが5個か6個あり、右襟裏側の物入れには3尺(約114cm)の手拭(てぬぐい)、左には小しころ(小さなのこぎり)などを入れていました。

装束の部位

忍装束
上衣(うわぎ) 胴衣の丈は、約1m。袖幅は、やや広い筒袖か短い袂(たもと)。袖が邪魔な場合は、上に折り上げて紐環で留めます。上衣には、ポケットが5個から6個付属していました。
右襟裏側のポケットには、手拭を入れ、左には「小しころ」(小のこぎり)を入れます。
手甲(てこう) 手袋。手を守り、肌の白さを隠し、夏は虫除け、冬は保温効果もある優れた道具。腕外側にポケットを付け、「棒手裏剣」(棒の形状をした手裏剣)等を入れていました。
頭巾(ずきん) 幅約25cm、長さ約2mの布。顔と頭が隠れるように巻き付けました。頭巾は、長い布なので負傷者を担げる他、塀を登るときにも使うことが可能。
袴(はかま) 動きやすく裾が詰まっていて、ぶかぶかしていません。
左右の重ねが深く、脚を180度に開いてもつっぱることがなく、後ろも長く裁断してあるため、深く前屈しても無理がない作りになっています。
腰板には、防御用に厚い綿を入れ、横に細長い物入れが内側に付けてあり、そこへ小しころを隠していました。
また、前の重ねた部分の紐を解けば、袴は左右に開き、着用したまま大小便が可能。
脚絆(きゃはん) 臑当(すねあて)。上下の紐を前で結び固定する。
褌(ふんどし) 長さ約1.8mの白い布。首から掛けて股の間を通し、腰で結んで使います。
簡単に結ぶことができるため、ロープや包帯の代わりとして使用可能。
足袋(たび) 足裏に厚く綿を入れて作ります。足裏防御と、屋敷に忍び込んだときに足音を立てないで歩行することが可能。装束と同色にするのが基本。
わらじ 夜間に行動する際、目立たなくするために着色して使用されました。
その他装束
伊賀袴 伊賀忍者の他、「武士」、「大工職人」、「踊り役者」など、身体をよく動かす職業の人が愛用していた袴。

頭巾の種類

イカ頭巾 文字通りイカの頭の形をした頭巾。江戸時代、武家の男性が用いた頭巾で、「鞍馬天狗」(くらまてんぐ:「牛若丸」[源義経の幼名]に剣術を教えたことで知られる、鞍馬山に住んでいた大天狗のこと)が付けていたと言われています。
おこそ頭巾 縮緬(ちりめん)などの四角い布に紐を付け、目だけを出して頭や顔を包む、婦人の防寒用頭巾。「袖頭巾」(そでずきん)とも言います。
平頭巾 目だけを出して顔を包んで隠す頭巾。

頭巾の巻き方(平頭巾の巻き方)

    頭巾の巻き方1

  1. 頭巾をかぶり、右側の布を内側に折り返して、鼻を包むように巻く。
  2. 左側の布を、右側の布を押さえ込むようにあごの下に通して巻く。
  3. 頭巾の巻き方2

  4. あごの下で交差した左右の布を後ろに回す。
  5. 固結びをして、余った布は垂らす。

「忍装束」を作る

型紙はどこで手に入れる?

忍装束の型紙は、自分で作るという方法の他、コスプレ用の書籍に付帯されている型紙のデータや、コスプレの衣装を掲載するホームページから手軽にダウンロードできます。

型紙に必要な道具
道具の一例

道具の一例

1)ハサミ
 (糸切りハサミ、紙切りハサミ、裁ちハサミ)
2)紙テープ
3)メジャー・定規・チャコペンシル
4)チャコペーパー・ソフトルレット
5)手縫い針・手縫い糸
6)マチ針・ピンクッション
7)リッパー・目打ち
8)アイロン・アイロン台
9)必要に応じて接着剤

生地

コスプレ衣装を作る際に、最も多く用いられているのが「ポリエステルツイル」、「ポリエステルギャバ」です。忍装束のような和装の場合は、「アムンゼン」もよく使われます。

「ポリエステルツイル」とは

ポリエステル製のため、シワになりにくい素材。折りたたんで持ち運ぶことが多いコスプレ衣装向き。折り目が細かく滑らかで、落ち着いた風合いがあります。

「ポリエステルギャバ」とは

ポリエステルツイル同様、シワになりにくい素材。ギャバの特徴は、光沢があり、軽いこと。また、ほど良い張りと、アイロンの掛けやすさがあるため、初心者でも比較的扱いやすい生地です。

「アムンゼン」とは

梨の皮のような細かい凹凸感のある、ざらざらした表面の布地。光沢はないものの、密に織られていて、しなやかな風合いがあります。生地にドレープ感があり、高級感のある素材で、厚手は少なく、薄手で軽めの生地が多いです。

生地を購入する際の注意点

実店舗の他、オンラインショップで購入する場合でも、布地は必要な量を裁断して購入するため、あらかじめ型紙などをもとに必要な量を把握し、その上で少し多めに購入します。

生地の幅は、90㎝、110㎝、140㎝の3種類が基本です。広い幅の生地ほど高くなりますが、効率よく生地が使えるように計算して購入したほうが、結果的に安価になります。

上衣の作り方

  1. 後ろ中心を縫う

    後ろ身ごろを中表に合わせて縫う。

  2. おくみを付ける

    前身ごろとおくみを合わせて縫う。
    おくみと前身ごろが段にならず、なだらかに繋がるようにする。

  3. 衿を作る

    衿の裏全体に中厚の接着芯を貼る。衿の表側に衿の表が見えるように縫い付ける。

  4. 衿を付ける

    身ごろの縫いしろと衿の縫いしろを中表に合わせて縫い合わせる。

  5. 断ち合わせ図例(上衣)

    断ち合わせ図例(上衣)

    脇を縫う

    前身ごろと後ろ身ごろを中表に合わせて、まっすぐに縫う。

  6. 袖を作る

    袖下を縫ってから袖口を縫う。

  7. 袖を付ける

    袖付け止まりから1周縫う。

忍者袴の作り方

  1. 股ぐりを縫う

    前身ごろの右と左、後ろ身ごろの右と左を外表に合わせ縫う。ひっくり返して中表にして袋縫いにする。

  2. 脇を縫う

    前身ごろと後ろ身ごろを中表に合わせ縫う。

  3. 脇開きの始末

    ほつれやすいところなので何度か返し縫いにする。

  4. 股を縫う

    前後の身ごろを縫い合わせる。

  5. 断ち合わせ図例(忍者袴)

    断ち合わせ図例(忍者袴)

    裾を縫う

    裾を1周縫う。

  6. 紐を作る

    中表にして両端を縫い合わせ、ひっくり返して外表にする。

  7. 紐を付ける

    紐にパンツの上部を挟み込んで縫う。

頭巾の作り方

断ち合わせ図例(頭巾)

断ち合わせ図例(頭巾)

  1. 後ろ中心を縫う。
  2. ひっくり返して見返しを付ける。
  3. 2つ折りにしてアイロンをかける。
  4. ひっくり返してステッチをかける。
  5. リボンを付ける。

手甲の作り方

  1. 採寸する

    手首からひじの内側までの長さ。

  2. 製図する

    布と布が重なる部分は、はだけやすいので、そこに「持ち出し」を作っておき、ガムテープを付けられるようにする。

  3. 裁断する

    縫いしろは、すべて1㎝で裁断する。

  4. 断ち合わせ図例(手甲)

    断ち合わせ図例(手甲)

    接着芯を付ける

    腕パーツに中厚の接着芯を付ける。

  5. 甲を作る

    接着芯を貼った甲(裏)と甲(表)を合わせる。

  6. 腕パーツを縫う

    接着芯を貼った腕と、そのままの腕を中表に合わせ、縫う。

脚絆の作り方

断ち合わせ図例(脚絆)

断ち合わせ図例(脚絆)

  1. 採寸する

    ひざ下から足首までの長さ。

  2. 製図する

    手甲の腕部分と基本的に同じ。

  3. 裁断する

    縫いしろは、すべて1㎝。

  4. 縫う

    どこから縫い始めても可。

コスプレ用の忍装束・頭巾の作り方

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