衣装について

コスプレ衣装の作り方 準備編

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自分の好きなアニメやマンガの登場人物を「推しキャラ」と呼び、その推しキャラになりきりたいという願望を叶えられるのが、いわゆる「コスプレ」です。コスプレに必要な衣装には、市販されている物もありますが、推しキャラの姿に一歩でも近付きたいと、細部にまでこだわって自作している「コスプレイヤー」も多くいます。
裁縫初心者の方などにとっては、衣装を自作するのはハードルが高いと思われるかもしれませんが、準備をしっかりと行なえば、意外と難しくありません。
ここでは、コスプレ衣装の自作に必要な準備について、分かりやすくご説明します。

自作に必要な知識

衣装設定の確認

1から衣装を作る前に、もととなるキャラクターの衣装を、きちんと確認することが大切です。

これは、既製品をアレンジしたり、購入したりする際も同様。例えば、アニメやマンガ、ドラマ、映画、ゲームなど、コスプレしたいキャラクターの作品が、様々なメディアで展開されている場合、色や形、小細工、髪型などの細部がそれぞれ違っていることがあるため、どれを基準にするかを事前に決めてから衣装制作に入ります。

衣装設定は、マンガやアニメなどの作品そのものや、公式設定資料集などを参考にしましょう。

戦国武将のコスプレ衣装の場合

戦国武将の甲冑

戦国武将の甲冑

近年の戦国ブームにより、武将コスプレ甲冑コスプレなどに取り組むコスプレイヤーが増加しています。

戦国武将は、歴史上に実在した人物。色や形状などが同じように見える甲冑陣羽織などであっても、武将それぞれの好みやこだわりなどにより、細部が少しずつ違っています。

そのため、インターネットなどで調べてみることはもちろん、戦国武将に関連する書籍などを読んでみたり、可能であれば、武将の甲冑や日本刀などの武具といった武将コスプレ、もしくは甲冑コスプレには欠かせないアイテムとなる、日本刀や甲冑などを所蔵・展示している博物館や美術館に足を運び、実際に観てみたりしましょう。

そのようにして得た情報を参考にしつつ、自分でも細かなところまでこだわり抜けば、周りのコスプレイヤーから一目置かれるような、本格的なコスプレ衣装を作ることにも繋がるのです。

また、武将コスプレや甲冑コスプレでは、実在した戦国武将の中でも、戦国系のゲームやアニメ、マンガなどに登場した人物に扮するコスプレイヤーも多くいます。なかでも人気の高い作品は、のちにアニメ化されたことで、「歴女」ブームを巻き起こすきっかけにもなったゲーム「戦国BASARA」(せんごくばさら)シリーズ。

同シリーズにおけるキャラクターの人物設定や衣装、小道具などは、実際のイメージを基調としながらも、主要なキャラクターである「伊達政宗」や「真田幸村」などは、格好良くスマートにデフォルメされています。その一方で、「本多忠勝」に至っては、顔がまったく見えないロボット型の出で立ち(いでたち)。

通常のコスプレ衣装の制作において基本となるのは、裁縫の技術ですが、戦国武将の場合、甲冑や日本刀なども作らなければならないため、工作の知識や技術も必要です。

いろいろ見比べると、つい凝った衣装に挑戦したくなります。しかし、コスプレ衣装を作りたい人物が、一般的なアニメやマンガのキャラクターでも、戦国武将であったとしても、やはり初心者にとっては、最後まで作り切ることが重要。慣れるまでは、簡単なデザインの衣装を選び、その分丁寧に作り込むほうが、満足のいく作品となります。

戦国武将
日本の歴史に登場する戦国武将をイラスト付きでご紹介します。
刀剣展示 博物館の日本刀
全国の博物館・美術館に展示されている日本刀を一覧でご覧頂けます。

フィギュアを手本にしてみよう

公式フィギュアが発売されている場合は、購入しておくと便利。イラストと違って立体的に作られているため、後ろ姿や全体のシルエットなど、細部を確認するときにも使えるからです。

なお、フィギュアがない場合には、マンガやアニメなどで、前や横、後ろの姿を必ず見直しておきましょう。

基本の道具を揃えよう

必ず使う手芸用品

ソーイングセット

ソーイングセット

コスプレ衣装を作るには、特殊な道具は必要ありません。

学校の家庭科で使っていたようなソーイングセットがあれば、問題なく衣装を制作できます。

必要な手芸用品は、次の通りです。

メジャー
樹脂や布製のやわらかい物。
定規2本
着丈の長い衣装に便利な1m定規・縫い代(ぬいしろ)を付けるときや、印付けに便利な30cm定規。

直角が分かるため、2本のうち1本は方眼定規がおすすめです。

縫い針
長短それぞれ3本ぐらい。
マチ針
シルクマチ針がおすすめ。
チャコペンシル
水で洗ったり、時間が経ったりすると消える物、2・3色。アイロンをあてると線が消える「フリクションペン」でも代用可能。
ミシン用である「カタン糸」の「60番」を、白・黒・赤の3色用意。手縫い糸は、ミシン糸とねじれ方が逆になっているため、兼用不可。

ボタンなど力がかかるところは、手縫い糸で縫うこと。

はさみ2本
糸切りばさみと裁ちばさみ、それぞれ1本ずつ。切れ味が悪くなってしまうので、紙を切らないように注意します。
アイロン、アイロン台
スチーム付きの物。カルキの入った水道水を使うと、白い粉が付いてしまうことがあるため、気になるときは精製水を使用。
ハトロン紙(トレーシングペーパー、模造紙などでも可)
型紙を写すための紙。無地の物なら100円ショップにある模造紙、書道用紙でも構いませんが、大型の型紙を写すには、手芸店で購入できる「ハトロン紙」がおすすめです。
姿見
衣装制作では、個々のパーツは上手にできていても、取り付けてみたらそれほど、ということがあります。そのため、制作過程で全身の映る鏡を用いて、シルエットの確認を行なうことが大切。

衣装は、ウエストを実際の腰のくびれ位置より3cm上にすると、バランスが良くなります。

ミシン(家庭用)
ミシンは家庭用の物で十分。ミシン針は9号(薄地用)、11号(普通用)、13号(厚地用)の3種類を用意すること。

合皮や伸縮する布など縫いづらい生地を使うことが多々あるのが、コスプレ衣装の制作。

そのため、新たに購入する場合は、「押さえ圧が調節可能」、「アーム内の作業スペースが広い」、「フットコントローラーが使える」という3つのポイントを満たすミシンが適しています。

あると便利な道具

コスプレイヤーが愛用する、あると便利な道具をご紹介。はじめからすべて揃えようとはせず、経験を積みながら、必要と思った道具を少しずつ揃えていくと良いでしょう。

洋裁用トルソー
洋裁用トルソー

洋裁用トルソー

「トルソー」とは、首と四肢を除いた胴体の模型です。

トルソーには、ディスプレイ用と洋裁用があり、ディスプレイ用は、上半身の長さが短かったり、マチ針が刺せなかったりするため、コスプレでは洋裁用を選びます。

リッパー
縫い間違えたときに、U字刃で糸を切ってほどくための道具。縫い目に差し込んで、簡単に糸を外すことができ、糸切りばさみを使うより簡単です。
ひも通し
ウエストのゴムを通したり、ひもを通したりするのに使います。安全ピンでも代用できますが、細いところも通すことができて便利です。
目打ち
裏側の布をひっくり返して表にするときに、角が丸くならないよう目打ちを使ってきれいな角を作ります。針で軽く刺し、引っ張りあげることでも代用は可能です。
ポンチ、マット
印付けやハトメ(穴に付ける金具)、カシメ(鞄の持ち手やポケットなどの補強、アクセントのために付ける金具)、鋲などを装着するために、紙や布に穴を開けます。

このとき、スクリューポンチを用いると、力を入れずに穴を開けられるのでおすすめです。ポンチを使用するときは、必ずマットを敷いて使いましょう。

どんな作り方ができるか考えよう

作りたいデザインが決まったら、いよいよ制作に入ります。

コスプレ衣装を自作する人の多くが、コスプレ本や手芸本に付いている型紙、またはインターネットでダウンロードできる型紙などを用いて作っています。しかし、目指すキャラクターと同じ型紙が手に入ることはなかなか難しいため、そこに自分なりの改造を加えて作るのも、コスプレ衣装を制作する醍醐味です。

とは言え、ベースとなるひとつの型紙だけを見て、自分の想像力を頼りに型紙を改造するのは、熟練者のテクニック。初心者のうちは、ベース用の型紙、パーツ用の型紙というように、複数の型紙を用意したほうが、改造しやすいでしょう。

ベースとなる型紙は、自分のイメージと身頃のシルエットが近い物を選びます。

作りたい衣装とその型紙でできる衣装の違いを見て、襟や袖、フード、特殊なスカートなど、改造の必要なパーツをチェックするのがポイント。この際、ベースにする型紙ほど細かくこだわらなくて良いですが、インナーかアウターかだけは統一します。インナーとアウターでは、体に密着する程度が違うため、例えばブラウスにジャケットの袖を付けると、身頃に比べて袖だけがやけに太い不恰好なシルエットになってしまうことも。常に完成形をイメージする癖を付けましょう。

必要な型紙を用意することができたら、2つの型紙を合体させてみます。異なる型紙のパーツを合体させるときは、縫い合わせる箇所の長さを揃えるのが基本です。

例えば、襟なら襟付け部分(身頃と縫う部分)と、身頃のネックライン(襟を付ける部分)、ワンピースのスカートなら、上半身のウエストラインとスカート側のウエストラインというように、縫い合わせる線同士の長さをすべて揃えます。

ベース型紙を改造するときは、その改造がまわりのパーツにどう影響してくるかをイメージするのを忘れてはいけません。例えば、肩幅を狭く改造すると、アームホールの形が変わることになり、襟ぐりの広さを変えるのであれば、襟にも修正が必要です。

また、袖山を低くしたら、袖丈の調整も必要というように、ひとつひとつに吟味が必要となってくるのです。この過程を面倒に思って、勢いで進めてしまうと、結局最初からやり直しということになるので必ず行ないます。

型紙を使うときの注意点

本などに付いている型紙は、半身で用意されています。その場合、型紙の「わ」記号の書かれた線を布の折山に置いて切ると、簡単に左右対称のパーツを作ることが可能。

初心者は、布がずれたまま裁断してしまう、「わ」記号を忘れて2枚に切ってしまう、縫い代を付けるのを忘れるなど、失敗しやすい過程でもあるので、注意が必要です。

このとき、左右を貼り合わせた型紙を用意すると間違いを防げます。

布の準備

布と材料を購入しよう

布の他にも、レースやリボン、ボタン、接着芯などの付属品も必要になるため、材料を買いに行く前に、チェックしておきましょう。

また、購入の際には、作りたいキャラの衣装が分かる公式のイラストなどの資料を持参すると、微妙な色の確認もその場でできます。

コスプレ衣装に適した生地

ポリエステルツイル 厚手でしわになりにくい。制服や軍服などに使える。
アーバンツイル ポリエステルツイルに似た生地。こちらは厚みがある。
T/Cブロード 制服のブラウスなどに使われている生地。
フリルにも良い。
アムンゼン ドレスなどに使用。
しわになりにくく、きれいなドレープが出る。
ハイミロン 高級感があり、コスプレ衣装では多用される。
しわになりやすいので注意。
ベロア ハイミロンに似た生地。
わずかに毛足が長く、光沢感がある。
合皮 ミシンでは縫いにくいため、シリコンスプレーを糸に吹きかけるなどの工夫が必要。
チュール 洋風衣装で使用。
スカートにボリュームを出すためのパニエなど。

コスプレ衣装に適さない生地

綿100%シーチング
綿100%ブロード
薄地のため、しわになりやすい。
綿100%サテン 仕上がりが安っぽくなる。
綿100%ベルベット ほこりが目立ってしわになりやすく、縫いにくい。

購入前に:布の必要量の確認

いざ布を購入するとなると、どれだけの長さを買えば良いのか迷うもの。

布には150cm幅、110cm幅、70cm幅など、様々な幅の布があります。布の幅が違うと、型紙の配置も変わるので、必要な布の量も違ってくるのです。

間違いを防ぐには、以下の手順で縮小サイズの目安を配置し、確認してから購入すると良いでしょう。

  1. 紙に10分の1サイズの布幅を描きます(例:布幅110cm=11cm)。
  2. 縫い代を含む型紙の中で、縦横のいちばん長い場所を測り、その長さの10分の1サイズで四角形を作ります(例:70cm=7cm)。
  3. ①に②を配置し、無理なく入れられた状態のとき、何cmになったかを測り、それを10倍した長さが必要な布の量ということになります。

下処理:「水通し」と「地直し」について

購入したばかりの生地には、多少のゆがみがあります。このゆがみを直す作業が「地直し」(じなおし)と「水通し」(みずとおし)。

地直しや水通しをしないと、せっかく丁寧に作った衣装がゆがんで縮んだり、色落ちしたりしてしまうことに繋がるのです。

水に濡らすと光沢が消えてしまう絹やアセテート、水で縮まないウールやポリエステルなどは水通しの必要はありませんが、迷ったときは端布(はぎれ)を使って、下処理が必要かチェックしてみましょう。

10cm角に切った布を水に浸け、軽く絞ってアイロンをかけます。カットした布がゆがんでいたり、縮んでしまっていたりする場合は、水通し・地直しが必要です。

生地別・地直しの方法

綿・麻
地直しの方法

地直しの方法

  1. 布を蛇腹に畳み、洗濯ネットに入れて水に1時間程度浸ける。
  2. 布目がゆがまないように気を付けて陰干しし、生乾きの段階で布目が直角になるように引っ張って整える。
  3. 裏にして、布目を整えながらアイロンをかける。
ウール
  1. 裏からまんべんなく霧吹きをかける。
  2. ビニール袋に入れて1時間ほど置き、裏からアイロンをかける。
ニット地
  1. 布を蛇腹に畳んで水に浸けたあと、絞らないように水を切る。
  2. つるすと伸びるため平置きで乾かす。生乾きの状態でスチームアイロンをあてて布目を整える。

接着芯を活用しよう

「接着芯」は、布の裏に貼って布に張りを持たせることにより、補強・伸び止めに使う物です。

ピンと張った美しいシルエットは、コスプレ衣装には重要な表現のひとつ。ぜひ、ひと手間かけましょう。

接着芯の貼り方のコツ

貼りたいパーツより大きめに布を切り、接着芯はそれよりひと回り小さく切ります。

それに当て布をしてアイロンをかけますが、このとき、アイロンは絶対に滑らせないように注意が必要です。

上から体重をかけ、1ヵ所につき15秒程度押し当て、生地が冷めてから型紙を切ります。

印付けと裁断

印付けの方法

布の種類によって、印の付け方が異なります。

チャコペンシル

チャコペンシル

チャコペンシルを使う方法:
ツイル・ブロード・アムンゼンなど

裁断する前に、チャコペンシルで目印を付けておく方法。

型紙のできあがり線の角や合印、ダーツの先など、目印が必要なところに穴を開けておき、チャコペンシルで輪郭線を写します(できあがり線は描かない)。

切りじつけを行なう方法:
ウール地・ベルベットなど(チャコペンシルで印が付けられない布)

布に型紙を置き、マチ針で止めて固定した状態で裁断する方法。型紙を外さず、しつけ糸を2本取りし(玉結びはしない)、角を十字に縫います。

裁断の注意点

  1. 柄を揃える

    柄に上下のある布は、型紙の向きも同じになるように気を付けましょう。

  2. 布目の向きに注意

    ベルベットやフェイクファーなどの起毛素材は、毛の流れる方向があります。濃く見えるほうと白っぽく見えるほうがあるので、裁断のときにはすべて同じ方向になるように注意しましょう。

    毛並みの短い布は、色がきれいに見える逆毛、ファーなど毛が長い布の場合は、順毛で使います。

  3. 薄い生地を切るコツ

    薄手のサテンなどのずれやすい布は、失敗しやすいので重ねて裁断しないようにします。1枚目に印を付け、それに沿ってカット。2枚目は型紙を裏返して、左右対称になるようにするとうまく切れます。

  4. 種類別・柄を揃えるテクニック

    ・トップスの場合

    脇できれいに柄が繋がるようにするのがポイントです。脇の下の位置に、同じ模様が通るように型紙を置きます。

    ・パンツの場合

    すそ線の位置を基準に模様を揃え、さらに裾を2等分した位置に同じ模様が来るように型紙を置きます。

コスプレ衣装の作り方 準備編

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