関市における刃物と観光

美濃伝を生んだ関市ならではの日本刀企画

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古くから日本刀の産地として知られ、現代は良質な刃物が作られる町として全国に知られる岐阜県関市。 関市では、日本刀にまつわる様々な企画を行なっています。
ここでは、過去に開催された企画をいくつかピックアップしてご紹介します。

日本刀職人を1日体験できる「関の工場参観日」

2014年(平成26年)8月、関市内にある30以上の工場を自由に見学することができるイベント「第1回関の工場参観日」が開催されました。

関のものづくりを多くの人々に知ってもらうことを目的に、刃物をはじめ、食品、印刷、建材など様々な企業や職人が参加。通常は見学することができない工場の内部を見られるとあって、好評を博し、毎年開催される人気のイベントとなっています。

このイベントでは、クラウドファンディングを利用して、刀工に弟子入りできる企画も用意されたことがあります。

クラウドファンディングで刀工を体験

クラウドファンディングとは、ある企画に賛同した人に向けてインターネット上で小口の資金を募る仕組みです。企画に投資すると、「お返し品」として物やサービスを受け取ることができます。

岐阜県関市では、2017年度関の工場参観日の開催に伴って、クラウドファンディングを行ない、様々な職人のもとで行なう物づくり体験をお返し品として用意。職人の世界を感じてみたい、自分だけの製品を作ってみたい、と希望する人達が参加しました。その中には小刀を実際に作るというものがあり、熱して叩き、鍛え、磨くまでの工程を体験できるコースとなっていました。

こうして岐阜県関市がクラウドファンディングで集めた資金は、工場参観日の運営費及び、参加事業所におけるワークショップの材料費や人件費などにあてられたのです。

固くて有名な「あずきバー」と関鍛冶のコラボ

企業とのコラボレーションでは、食品メーカーである井村屋株式会社と関市が協力し、日本刀に絡めたいくつかの企画を実施しています。

関市内のイベントであずきバーを無料配布

「あずきバー」と言えば、井村屋株式会社のロングセラー。とても固い食感で有名なアイスです。一方で、「折れず曲がらずよく切れる」と表現されることも多い日本刀

2015年(平成27年)頃、両者の共通点「固さ」に注目し、「あずきバーが固いのは、関鍛冶の鍛錬によるものだ」というジョークがSNS上に飛び交い、話題になりました。このSNS上での出来事をきっかけに、井村屋と関市の間に新たな交流が生まれ、コラボレーションイベントが実施されるようになるのです。

例えば、関鍛冶の技や歴史に関する資料が展示・保管されている施設「関鍛冶伝承館」(せきかじでんしょうかん)で、古式日本刀鍛錬実演(こしきにほんとうたんれんじつえん)が無料公開された日には、先着100名にあずきバーが無料配布されたこともあったのです。

関鍛冶があずきバーをキーン!と鍛錬?!

関鍛冶CAFE&あずきBAR

関鍛冶CAFE&あずきBAR

2016年(平成28年)9月には3日間限定で、名古屋市にあるカフェ「THE BROOKLYN CAFE テレビ塔店」にて、岐阜県関市が関鍛冶とあずきバーのコラボレーションカフェ「関鍛冶CAFE&あずきBAR」を営業。

10月の「第49回岐阜県関市刃物まつり」への誘客を目的に、店内に日本刀を展示し、あずきバーを使った限定メニューを提供しました。

会場に展示されたのは、刀工が日本刀を鍛錬するときに使う玉鋼や大槌、関市が誇る室町時代後期の刀工「孫六兼元」(まごろくかねもと)作の日本刀など。限定メニューを注文すると関の刀工があずきバーを鍛錬しているかのような、「キーン!キーン!」という音が店内に鳴り響くようになっており、来場客を楽しませました。

実物大!全長87センチメートルの日本刀アイスを展示

毎年10月に岐阜県関市で開催される刃物まつり。2017年(平成29年)には全長約87センチメートル、刀身約65センチメートルの巨大な日本刀の形のアイスが展示されました。

これは関市内の若手経営者で組織した「日本刀アイスを作る会」と関市、井村屋株式会社の共同製作による物。関鍛冶伝承館で2日間にわたり展示され、話題を集めました。

映画「スター・ウォーズ」の刀剣をモチーフに制作

来人勢刃(らいとせーばー)

来人勢刃(らいとせーばー)

2015年(平成27年)には岐阜県関市の刀工が関市に依頼され、人気映画「スター・ウォーズ」に登場する武器「ライトセーバー」をモチーフにした日本刀を制作。

その名も「来人勢刃」(らいとせーばー)という日本刀です。来人勢刃は関鍛冶伝承館で同年に開催された企画展で展示され話題となりました。

この日本刀は、スター・ウォーズ作品「最後のジェダイ」の公開を記念して、刀匠25代・26代藤原兼房(ふじわらのかねふさ)親子が制作。刀身に彫られた「」(ひ)という溝部分にブルーの塗料を施し、暗い場所で青く浮かび上がるようにデザインされています。ライトセーバーのイメージを残しつつ、日本刀の良さが光る作品に仕上がっています。

岐阜県関市のPRムービー「もしものハナシ」

2015年(平成27年)には、岐阜県関市が制作したPRムービー「もしものハナシ」が数々のメディアで取り上げられました。

このPRムービーは、日本一の刃物の町として関市の認知度を上げることを目的に作られました。同年の刃物まつりのPRもかねて、関市公式You tubeチャンネルにて公開されました。

もしも刃物が存在しなかったら…

PRムービーもしものハナシは、暮らしに必要な包丁、カミソリ、理髪用刃物、爪切り、ウェディングナイフと言う5つの刃物がない世界が舞台。刃物がないために、人々が困っている様子が描かれています。

料理をするときに手で具材を切ろうとする母親や、ガムテープでヒゲを抜く男性、髪を歯で噛みちぎってヘアスタイルを整えようとする美容師などが登場。ショッキングとも言える映像には、たくさんの人が目を惹き付けられたことでしょう。

ふるさと納税謝礼品に日本刀や日本刀アイス

地方自治体へ寄付をすることで、様々な謝礼品がもらえる制度「ふるさと納税」。2008年(平成20年)に開始され、返礼品として各地の特産グルメなど様々な品が登場しています。

そんななか、岐阜県関市はふるさと納税の返礼品に日本刀にまつわる品を用意したことがありました。

おいしくてと~けん日本刀アイス

日本刀アイス

日本刀アイス

2018年(平成30年)に「日本刀アイス」が岐阜県関市の返礼品として登場。寄付金額8,000円で選ぶことができます。

日本刀アイスは長さ約25センチメートルで、見た目にインパクトがありながらも食べやすい大きさ。刀身部分のアイスは、「くず」が使われており、もっちりとした食感が特徴のアイスです。

味は上之保ゆず味、こしあん味の2種類。この日本刀アイスは、もともと関市の高校生がアイデアを出し、関商工会議所青年部の協力によって完成しました。

斬新な見た目と美味しさが話題となり、2017年(平成29年)の「日本ど真ん中・関ご当地グルメ大会」で完売した実績を持ちます。

また、日本刀アイスは溶けにくいという特徴もあることから、「刀剣(とうけん)」と「溶けん(とーけん)」を掛けて、「刀剣アイス」と名付けられていたとか。刀匠、第26代藤原兼房氏が監修した、こだわりの逸品です。

発売当初は高速道路のサービスエリアなどでも販売されましたが、品切れなどにより入手できる場所が限られるようになりました。

名工による日本刀をオーダー?!

過去に岐阜県関市のふるさと納税返礼品として、さらに話題を集めた物があります。

それは、本物の日本刀。2016年(平成28年)に「あなたの寄附で刀剣文化が発展します!!」の呼びかけのもと、返礼品に登場しました。

寄付金額500万円なら尾川光敏など刀匠5人による日本刀、寄付金額300万円なら26代藤原兼房(加藤正文実)ら関鍛冶の技術を受け継ぐ若手刀匠が制作した日本刀。さらに、寄付金額100万円なら、6カ月かけて制作されるお守り刀が返礼品として選択が可能でした。日本刀を選んだ人の寄付金は、すべて関鍛冶文化の保全・発展のために使用されるという条件がありました。

返礼品としての日本刀はたいへん人気を集めましたが、2017年(平成29年)に総務省より資産性の高い品は見直すよう通知があったため終了。その後は模擬刀などに変更されています。

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包丁の選び方(種類・材質・ブランド)と基礎知識

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関市で生まれたフェザー安全剃刀株式会社

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1932年(昭和7年)7月1日に創業した「フェザー安全剃刀株式会社」(フェザーあんぜんかみそりかぶしきがいしゃ)は、世界中に多くのファンを持つ精密刃物メーカーです。 「フェザー」のブランド名で親しまれ、私達の生活に身近な安全剃刀の製造、理美容業務用の剃刀、さらには医療用メスの製造も手掛けています。 岐阜県関市で創業したフェザー安全剃刀株式会社の刃物製品には、関市で培われた日本刀や刃物制作の技術が活かされています。

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刃物のまち関市の町並み散策と歴史巡り

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世界初の刃物博物館 フェザーミュージアム

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「フェザーミュージアム」は、岐阜県関市日ノ出町にある世界で初めての刃物の総合博物館です。「切る」をテーマに掲げた非常にユニークな博物館で、石器時代から現代までの様々な刃物が展示されています。最新の映像技術を使ったシアターや、実際に触れて学ぶ体験コーナーなども充実したフェザーミュージアムの魅力をご紹介します。なお、フェザーミュージアムの入場料は無料となっています。

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関市の刃物産業

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日本のほぼ中央に位置する岐阜県関市。2014年(平成26年)の刃物製品の出荷額は369億円、同年の輸出額は106億円(出典:岐阜県輸出関係調査、平成29年度[関市の工業])を誇ります。名実共に、日本の刃物産業を支えているのが関市です。輸出額はピーク時の1985年(昭和60年)より減少していますが、日本を代表する刃物の産地であることに変わりはありません。 鵜飼いと清流で有名な長良川の中流部にあり、人口約8万9,000人(2018年[平成30年]4月1日現在)を数える関市で、なぜ刃物産業が勃興したのでしょうか。刀匠が関市に移り住んだところから始まる関市の刃物産業の歴史。こちらのページでは、関市独特の刃物産業の構造をご紹介しましょう。

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医療の現場で活躍する関市の刃物

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関市の刀剣作りは鎌倉時代に始まったとされ、今日まで日本の刃物文化の発展に貢献してきました。それゆえに関市は「刃物のまち」と名高く、高い品質が要求される医療用刃物を製造するメーカーも複数存在します。長い年月で培われた関市の刃物鍛造技術は、どのように医療用刃物に活かされているのでしょうか。いくつかのメーカーの実績などをもとに考察してみましょう。

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世界に認められた関市の刃物

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関市は「刃物のまち」として多くのファンを持ち、国内では高いブランド力を誇ります。実は、関市の刃物は国内のみならず海外の人々からも支持されています。関市の刃物ならではの品質やデザイン性の高さが、このような人気の背景にあるようです。ここでは刀剣の特徴をふまえつつ、関市の刃物が世界でどのように評価されているのか紹介します。

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関市の家庭用刃物

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九州から刀匠「元重」が移り住み、関市で初めて日本刀が作られたのは鎌倉時代。その後、室町時代には孫六兼元、兼定といった有名な刀匠を輩出しました。明治時代以降は家庭用刃物の生産に転向したものの、関市は今も刃物の町としてその名を知られています。 質の高い家庭用刃物を作る関市は、家庭用刃物の全国シェアの50%近くを占め、全国1位です。日本刀の時代から移り変わっても、包丁、ハサミ、ナイフなどの家庭用刃物の生産にシフトし、刃物産業を支え続ける関市。そんな刃物産業の中で重要な一角を担う関市の家庭用刃物についてご紹介します。

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関市の刃物 包丁の製造工程

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