関市における刃物の催事・祭事
関市の古式日本刀鍛錬打ち初め式
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関市の古式日本刀鍛錬打ち初め式

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関市の「古式日本刀鍛錬打ち初め式」とは、関市の刀工らが、年初である1月2日に日本刀(刀剣)の鍛錬を奉納し、仕事と繁栄を祈念する行事です。関市の「古式日本刀鍛錬打ち初め式」は、刀匠らの仕事始めの儀式でもありますが、迫力のある鍛錬の様子を一般の見学者が間近で見ることできる貴重な機会にもなっています。このページでは、そもそも日本刀鍛錬とはどういうものなのかという説明や、また「古式日本刀鍛錬打ち初め式」を見学するために事前に知っておきたい知識や情報をまとめました。その他「古式日本刀鍛錬打ち初め式」で行なわれる内容や流れも網羅。鍛錬の音が、刃物の街「関市」に新春の訪れを告げる「古式日本刀鍛錬打ち初め式」について、詳しくご紹介します。

関市の古式日本刀鍛錬打ち初め式とは

古式日本刀鍛錬打ち初め式

古式日本刀鍛錬打ち初め式

新年の1月2日に、その年最初の鍛錬を奉納し、仕事の無事と繁栄を祈る「古式日本刀鍛錬打ち初め式」。かつては関の鍛錬場ごとに行なわれていた正月行事でしたが、1977年(昭和52年)から、関の刀工が一堂に集まって行なわれるようになりました。

現在の刀剣人気の高まりもあり、関鍛冶伝承館の鍛錬場で行なわれる打ち初め式には、関市以外からも多くの見学者が訪れる人気のイベントです。

打ち初め式では、まずはじめに関鍛冶ゆかりの社である春日神社にて修祓の儀が執り行なわれます。その後、関伝日本刀鍛錬技術保存会に所属する刀匠が、関鍛冶伝承館の鍛錬場に集結し、火入れ式。

祝詞を上げ一年の安全と発展を祈ったあと、鋼をたたいて火を起こし、火床(ほど)へ火を入れ鞴(ふいご)を動かすと一気に燃え上がります。この火は神棚にも捧げられ、いよいよ今年最初となる古式日本刀鍛錬の始まりです。

火床で熱した玉鋼を大槌で叩いて平たくし、神前に奉納。その後、鋼を約1300度になるまで再び熱し、大槌を振り下ろす向槌3人と、座って小槌を鳴らす刀匠の合計4人が交互に鋼を叩いて不純物を取り除きます。このとき火花が飛び散りますが、これは不純物が出ている証拠。途中、たがねで割れ目を入れて折り返し再び槌で叩く、を繰り返していきます。打ち初め式は、この迫力ある折り返し鍛錬を一般の見学者が間近で見ることができる貴重な機会です。

またこの日は日本刀(刀剣)作りの職人である、研師鞘師白銀師らによる「刀剣研磨外装技術仕事始め式」も行なわれ、関鍛冶伝承館にてその技が披露されます。当日は関の各メーカーの刃物製品が当たる福引きも催されるなど、多くの人で賑わう新春恒例の行事です。

古式日本刀鍛錬とは?

白装束を纏い、烏帽子をかぶり、大槌や小槌をリズムよく打ち鳴らし鍛錬をする、古式日本刀鍛錬。鍛錬とは、火の中で鋼を熱しては打つを繰り返し行なう、鋼の強度やきめの細かさを上げていく工程のことで、日本刀(刀剣)作りの要となる作業です。

脇座に立つ向鎚の大鎚と、横座に座る刀匠の小鎚が息を合わせて打ち付けている様子は迫力があって神秘的。ひとつひとつが研ぎ澄まされた感覚による手仕事で、このような昔ながらの製法は全国でも数少ない場所でしか行なわれていません。その強度、鋭さ、美しさを作り上げるため、鍛錬の他にも「積み沸し」、「造込み」、「素延べ」、「火造り」など様々な工程を経て、日本刀(刀剣)の形を作り上げていきます。だいたいの形ができるまでに2週間ほどかかることも。

その後、形を整える「荒仕上げ」、焼刃土を塗る「土置き」、熱してから水に浸けることで日本刀(刀剣)特有の反りを作る「焼き入れ」などの工程を経て、彫刻や(なかご)を施します。そして刀匠から研師など他の職人へとバトンタッチ。古式日本刀鍛錬で披露されるものは積み沸しや「折り返し鍛錬」の工程を形式的に取り出して披露しているもので、日本刀(刀剣)の制作工程の中のほんの一部にすぎないのです。

積み沸し

日本刀(刀剣)の原料は玉鋼と呼ばれる鋼で、砂鉄を炭で熱して作り上げる日本古来の製鉄法「たたら製鉄」により生み出されます。これを小さく割り、硬さごとに分別。テコ台の上に隙間なく積み重ね濡れた和紙でテコ台ごと包み、泥水と藁灰を掛けてから1300度の火の中へ。直接火に当てず、和紙や泥で表面を覆うことで鋼が中まで均一に熱せられ、加工しやすくなり、鍛錬などの作業を長く行なうことができるようになります。

集めた鋼が一体となり、ちょうど良い温度にまで熱せられると、積み沸しと呼ばれる湯が沸くような音がするのです。

折り返し鍛錬

折り返し鍛錬・焼き入れ

刀匠による刀剣奉納鍛錬(折り返し鍛錬・焼き入れ)の様子を動画でご覧頂けます。

折り返し鍛錬・焼き入れ

刀剣奉納鍛錬

積み沸しを施した鋼をいよいよ鍛錬していきます。まずは形を整えながら伸ばし、たがねで折り目を入れて折り返し、またそれを叩いて伸ばすことを10~20回以上繰り返す「下鍛え」(したぎたえ)を行なうのです。

これにより鋼の粘りを出して強度を高め、不純物を取り除いていきます。縦に伸ばして折り返すことを繰り返す一文字鍛えや、縦と横の交互に折り返す十文字鍛えなどの手法があります。

下鍛えが済んだ鋼を再び割って硬さなどをより分け、再度積み沸しを行ない、心鉄(しんがね)、棟鉄(むねがね)、刃鉄(はのかね)、皮鉄(がわがね)など、硬さの異なる鋼を制作。不純物がない物を皮鉄に、粘りがある部分は心鉄用になります。

そして皮鉄は折り返し鍛錬を繰り返す「上鍛え」(あげぎたえ)へ。これにより鋼がパイのような層状になり、刀にして研ぐと木目のような模様として地肌に現れてくるのです。鋼自体の強度を高めるのはもちろん、日本刀(刀剣)の美しさにもかかわる重要な作業となります。

造込み

造込み

造込み

造込みとは折り返し鍛錬で鍛え上げた皮鉄で心鉄を包み込み、その構造を作り上げる作業です。皮鉄を硬い鋼にすることで曲がりにくく、心鉄はそれよりもやわらかい鋼を使うことで衝撃を吸収してくれるので、刀の強度が高まり「折れず、曲がらず、よく切れる」という日本刀(刀剣)特有の性質が生み出されるのです。

甲伏せ、本三枚など色々な方法がありますが、関鍛冶が受け継ぐ造込みの技法は「四方詰め」と呼ばれています。

これはやわらかい心鉄を中心に置き、その周りを硬い鋼で固めて刀身を作り上げる方法で、関の日本刀(刀剣)が「折れず、曲がらず」と称されるのはこの技法が所以です。現在この技法を含め、3人の向槌(むこうつち)による廻し打ちなど、関鍛冶に伝わる一連の鍛錬法は「美濃伝日本刀鍛錬技法」として、岐阜県の無形民俗文化財にも指定されています。

素延べ

造込みを施した鋼を火床で再び熱し、槌で叩いて刀の長さに伸ばしていく作業が「素延べ」と言われるもの。

ここででき上がりのサイズにまで伸ばし、厚みや幅など大方の刀の形に整えていきます。造込みの構造を崩さないように、伸ばしていくのに技術が必要となる工程です。

火造り

素延べで形を整えた鋼に熱を加えながら打ち出し、鋒/切先や峰、刃の部分を作っていくのを火造りと言います。先端を斜めに切って(むね)側に打ち出して、刀の先端である鋒/切先を作る他、熱しながら槌で打ち、薄くすることで刃を作り出し、峰の形を整えるのです。これで完成時に近い、日本刀(刀剣)の姿ができ上がります。

古式日本刀鍛錬を観るには関鍛冶伝承館(関市)へ

関鍛冶伝承館

関鍛冶伝承館

打ち初め式以外にも関市では、その技と伝統を受け継ぐため、古式日本刀鍛錬を広く一般の人々に披露しています。

関鍛冶伝承館では1月2日の打ち初め式の他、2~9月と11・12月の第1日曜日と10月に行なわれる関市刃物まつり開催時にも古式日本刀鍛錬及び外装技術の公開を実施。その他、関鍛冶伝承館の特別展示など、日本刀(刀剣)にかかわるイベントに合わせて行なわれることもあるので、ぜひ関市に訪れる際は関鍛冶伝承館や関市に問合せてみて下さい。

なかでも新年の打ち初め式はとても神聖な空気に包まれていて、700有余年の歴史と伝統を感じることができるはずです。

関市の古式日本刀鍛錬打ち初め式

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