オカルティック戦国
聖徳太子の予言書で未来を知った楠木正成
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聖徳太子の予言書で未来を知った楠木正成

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「兼知未然」、かねていまだ然らざるを知る。これは「日本書紀」における聖徳太子に関する記述。聖徳太子は「まだ実現していないことを、あらかじめ知っていた」という。つまり聖徳太子は未来を語る予言者。その予言を記したとされる「未来記」(みらいき)は後世の人々も興味津々だったよう。現在未来記が実在したかどうかは謎とされているが、南北朝時代の終わり頃に成立した「太平記」には、聖徳太子の未来記を見た楠木正成のエピソードが紹介されている。

聖徳太子の「未来記」とは?

聖徳太子が書いた未来記が実在したことを示す書物は、太平記以外にも複数ある。

鎌倉時代に成立した「平家物語」には「聖徳太子の未来記にも、けふの事こそゆかしけれ」という記述があり、平氏滅亡を聖徳太子は未来記にどう書いているのだろう…と感慨にふけっている。

聖徳太子

聖徳太子

公家で歌人の藤原定家(ふじわらさだいえ)は、日記「明月記」(めいげつき)の1233年 (天福元年)11月20日の記述で、瑪瑙(めのう)の石箱が発見され、そこに聖徳太子の未来記が刻まれていたことに言及している。

その予言の内容は、当時最大のニュースであったであろう「承久の乱」のことで、朝廷が敗北して、武家政権の時代が来ることを見事言い当てていたという。

また、江戸時代になると、聖徳太子によって編纂されたとされる全72巻から成る「先代旧事本紀大成経(せんだいくじほんきたいせいきょう)」が発見され話題となった。

その中の69巻「未然本紀」こそ「未来記」かとも考えられたが、幕府は「先代旧事本紀大成経」ごと偽書と断定。以降、出版・販売が禁じられてしまった。

多くの研究者も偽書としているが、先代旧事本紀大成経は幕府の目を盗んで多くの人々に読まれ続け、現在も本物と信じる人が少なくない。

楠木正成が見た未来とは?

楠木正成

楠木正成

後醍醐天皇に仕えた楠木正成は、鎌倉幕府を相手に「赤坂城の戦い」や「千早城の戦い」などを戦い、討幕に貢献。

1333年(元弘3年/正慶2年)に後醍醐天皇が開始した「建武の新政」成立の立役者のひとりとなった。

しかし、天皇親政の時代は長くは続かず、足利尊氏が新政から離反したことによって、ほころび始める。

尊氏を評価していた正成は、和睦するよう後醍醐天皇に進言するが叶わず、1336年(建武3年)、正成は「湊川の戦い」で足利軍に敗れて自害。建武の新政は崩壊し、室町幕府がスタートした。

楠木正成と「未来記」

四天王寺

四天王寺

太平記巻六の「正成天王寺未来記披見事」によると、正成が聖徳太子の未来記を見たのは1332 (元弘2年)8月3日のこと。

建武の新政が成立する前年であり、鎌倉幕府を倒すべく、戦いを繰り広げていた頃だ。

正成は天王寺(現在の四天王寺)を参拝し、馬と太刀、鎧一領を奉納して、宿老の僧に未来記を見せてほしいと頼んだ。天王寺は593年(推古天皇元年)に聖徳太子によって建立された寺。正成はここに未来記があることを確信していたようだ。

老僧は「本来はたやすくお見せできませんが、特別にご覧に入れましょう」と金軸の書一巻を見せてくれた。

そこには以下の不思議な一文があった。

人王九十五代に当たって、天下一たび乱れて、主安からず。
この時 東魚(とうぎょ)来たりて、四海を呑む。
日、西天に没すること三百七十余箇日、西鳥(せいてう)来たりて、東魚を食す。
その後、海内(かいだい)一に帰すること三年。
獼猴(みこう)の 如き者、天下を掠すむること三十余年。
大凶変じて一元に帰す。云云(うんぬん)

正成はこれを次のように解釈したという。

「人王九十五代」は第96代天皇後醍醐天皇のこと。「東魚」は鎌倉幕府、「四海」は日本全体。「日、西天に没すること」は、幕府との戦いの中で、後醍醐天皇が一時期、隠岐に流されていたこと。「西鳥(せいてう)来たりて、東魚を食す」は鎌倉幕府を倒す者が現れるということ。

これにより、後醍醐天皇が再び帝位に着く日もそう遠くないと察した正成は心強く思い、黄金の太刀を老僧に与えたという。

太平記に記されているのはここまで。「その後、海内(かいだい)一に帰すること三年」以降を正成がどのように解釈したかは、記されていない。

歴史のあらましを知っている現代人が読み解くとすれば、「獼猴(猿)の如き者」はおそらく足利尊氏のこと。「大凶変じて一元に帰す」は南北に分裂した朝廷がひとつになるということだろうか。

正成がこの部分を史実通りに解釈していたのか、それともまったく別の捉え方をしたのか、今となっては想像する他ないが、正成の解釈によっては、歴史が変わっていたかもしれないと思うと興味深い。

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