日本刀を楽しむ

模造刀とは

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「模造刀」とは、本物の日本刀に似せて作られた用具で、居合道で使われていたり、刀掛けに飾って鑑賞したりする用途で使われます。 模造刀は、有名な日本刀や名刀を模したレプリカも販売されていることから、近年では、「刀剣乱舞」のファンである刀剣女子にも注目され、好きな日本刀を模した模造刀を買い求めるケースもあるくらいです。
ここでは、模造刀とは何か、また、模造刀を持つ意義について、詳しく解説します。

日本刀を所持するには

銃砲刀剣類登録証

銃砲刀剣類登録証

本物の日本刀、つまり真剣を所持するためには、「鉄砲刀剣類登録証」と呼ばれる許可証が必要です。

日本刀を新しく購入する際には、この「銃砲刀剣類登録証」が付属されますが、これは一定の条件を満たす刀剣類を、専門の刀剣商から購入する場合のみです。

「一定の条件」とは、各都道府県教育委員会によって審査を受け、「美術品や骨董品としての価値が認められる」ことを意味します。

この審査に合格した日本刀に対して、登録証が発行されるのです。

刀剣商は、その登録証がすでに付いている物を仕入れるか、あるいは付いていない日本刀については、登録手続きを済ませたうえで、顧客に登録証付きの日本刀を販売しています。

なお、登録証の申請から取得までは1ヵ月以上の日数がかかり、さらには、日本刀1振あたり6,300円(税金別)が必要です。

また、登録証付きの日本刀を刀剣商から購入したり、知人から譲り受けたりする場合には、当該の日本刀について、所有者移転変更の届けをしなければなりません。

以上のように、日本刀を所持するためには、美術品や骨董品としての価値があると各都道府県の教育委員会が認定し、登録証が発行されることが不可欠。

これは、「銃砲刀剣類所持等取締法」(銃刀法)の第三章に規定されています。

この他にも、自宅の蔵などから古い日本刀が出てきた場合も、新たに登録証の発行手続きを行なわなければなりません。

しかし、それが美術品としての価値がなさそうな日本刀であったり、狩猟やお祭りで使う、実用だけのための刀を持つことが必要になったりした場合には、銃刀法の第一章に基づき、各都道府県の公安委員会に届け出て、所持の許可を得る手続きを行なう必要があります。

この場合にも、最初の1振に対し、すでに他の日本刀で許可を受けている人は6,800円(同時に受ける場合は、2振目の費用は4,300円)、初めて許可を受ける人は、10,500円(同じく6,700円)の費用が発生するうえ、18歳以上、精神的に健全な人などの付帯条件があります。

銃砲刀剣類登録証を提出 都道府県教育委員会一覧銃砲刀剣類登録証を提出 都道府県教育委員会一覧
刀剣類の購入(所持)や譲渡・相続の際には、名義変更届を教育委員会に提出します。お住まいの地域からお探し下さい。
  • 日本刀を鑑賞、購入したい場合の手順をご紹介します。

  • 日本刀を購入(所持)するための法律や相場、購入の注意点をご紹介します。

  • パブリネット 警察署

    刀剣の紛失や盗難、また保管を委託する場合、警察署への届出が必要です。

  • 文化庁

    刀剣を海外に持ち出す場合、古美術品輸出監査証明証の発行が必要です。

模造刀とは

模擬刀を用いた居合道の鍛錬

模擬刀を用いた居合道の鍛錬

「模造刀」とは、金属製であり、本物の日本刀に類似した形態の1振を指します。

すなわち、「玉鋼」(たまはがね)を刀身の原料とせず、亜鉛などのアルミニウム合金で作られ、「刃が付いていない=切れない」ことに加え、「研ぐことができない=将来的にも切れないまま」である用具が模造刀と定義され、これは、銃刀法に定められている規定です。

模造刀には刃がありませんが、本物の刀の代わりに、居合道(いあいどう)など、武道の鍛錬においても用いられています。

また、床の間の刀架(とうか:日本刀を掛けておく用具)に完全な飾り物として置いておく模造刀もあり、これらは「模擬刀」とも呼ばれることもあるのです。

鑑賞用の模造刀

鑑賞用の模造刀

鑑賞用や居合道などで用いられる模造刀は、合金製である刀身の表面に、クロムメッキ加工を施し、刃文が入れられています。

刃文は、職人がヤスリで研削(けんさく:表面を滑らかにするために、砥石などで削ること)して、模様を付けるのが一般的。

このヤスリ作業で、直刃(すぐは)や小乱(こみだれ)、互の目(ぐのめ)など、多種多様な刃文を再現できるのです。模造刀であっても、その刀身自体は鋳造(ちゅうぞう)されているため、刀身彫刻を入れることが可能です。

また、模造刀の(つか)やなどの(こしらえ)は刀身とは異なり、銃刀法における規定はないので、費用をかければ、いくらでも本物と遜色のない仕様にすることが可能。そのため、模造刀用であったとしても、所持者の好みやこだわりを示す部位にすることもできます。

模造刀の入手方法

浅草寺仲見世

浅草寺仲見世

模造刀は真剣と同様、取り扱いのある刀剣商や、専門店などで購入できます。

居合の稽古を用途とするのであれば、販売店の方と相談のうえ、使用者の手のサイズや形状、腕の長さ(リーチ)に合った模造刀を選ぶことが重要。また、鞘も模造刀の刀身に合わせて作る必要があります。

一方で鑑賞用は、インターネットなどで完成品が販売しているので、好みの日本刀を模した模造刀や武将シリーズなどを簡単に購入可能。

さらには、店頭に置いて販売している店舗もあり、例えば、東京の「浅草寺」(せんそうじ)の仲見世に、模造刀を多く扱うお店があります。模造刀だけではなく、手裏剣などの忍術道具や江戸時代の捕り物道具の模擬品が揃うお店も。

なかには、名刀を復刻した模造刀もあるため、このケースにおいては、実際の店舗で実物を観て入することが可能です。

また、歴史関係の雑誌などの巻末広告などでも、模造刀が紹介されています。

織田信長」の「義元左文字」(よしもとさもんじ)など戦国武将の佩刀(はいとう:刀剣を腰に帯びること)や、「新撰組/新選組」(しんせんぐみ)に属していた「土方歳三」(ひじかたとしぞう)の「和泉守兼定」(いずみのかみかねさだ)など、幕末の名士達の愛刀、さらに最近は、日本刀を主題にしたゲーム「刀剣乱舞」などに登場する「三日月宗近」(みかづきむねちか)などが人気を集めており、お手頃な価格で購入することが可能です。

模造刀の手入れ

模造刀の刀身の多くは合金で、その表面はメッキで覆われているため、真剣に比べて、錆について心配する必要はありません。

居合などで使用して、汗などの水分が付いてしまった際に、乾いたやわらかい布で拭き取る程度で充分です。なお、居合道などに用いる模造刀の場合は、「鞘から刀身の抜き差しをスムーズに行なう」、「刀身の摩耗防止」と言った効果を得るために、丁子油(ちょうじあぶら)を塗っていることから、拭き取ることで、汚れを奇麗に落とすことができます。

「打粉」を付ける道具

「打粉」を付ける道具

ここで注意が必要なのは、真剣の手入れに用いる打粉(うちこ)は、模造刀の手入れに使用するのは厳禁です。

「打粉」は砥石の粉で、刀身に付いた古い丁子油を除去するために、絹などの布に丸く包んで用います。しかし、模造刀の刀身は、メッキ処理されているため、打粉を使うと傷が付いてしまったり、最悪の場合には、メッキ自体が剥がれてしまったりすることもあるのです。

また同様に、クレンザーなどの研磨洗剤も、模造刀の刀身に付いた汚れを、除去するのには適していません。そのような洗剤を使って刀身に傷が付いたり、メッキが剥落(はくらく)したりすると、その下の合金が錆び、再生不可能な状態になりかねないのです。

少し汚れが目立つ場合は、水を含まない「エチルアルコール」を、やわらかい布に少し付けて拭います。そのあとは、刀身や鍔に丁子油を含ませたやわらかい布で軽く拭きましょう。このとき、あまり大量に油を付けると、刀身を鞘へ収める際に鯉口(こいくち)が緩むなど、鞘を傷める原因にもなるので注意が必要です。

模造刀を楽しむ

模造刀の楽しみ方は千差万別。居合抜きなどの練習に励んだり、手元に置いてその格好良い姿を眺めたりするなど、様々です。

模造刀の楽しみ方の幅を広げたい場合は、刀身のサイズや各部位の寸法、刀身彫刻、刃文、拵などを細かく指定して、オーダーメイドするのも良いでしょう。
 
なお、模造刀を楽しむにあたって、所持したり、使用したりするには、法律を守る必要があります。

「銃砲刀剣類所持等取締法」第四章雑則第二十二条の四「模造刀剣類の携帯の禁止」には、「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、模造刀剣類(金属で作られ、かつ、刀剣類に著しく類似する形態を有する物で内閣府令で定める物を言う。)を携帯してはならない」とあります。

さらに「内閣府令」における「銃砲刀剣類所持等取締法施行規則」の第百四条には、「法第二十二条の四の模造刀剣類について内閣府令で定める物は、刀、やりなぎなた若しくはあいくちに著しく類似する形態を有する物または飛出しナイフに著しく類似する形態及び構造を有する物とする」と規定されているのです。

できの良い模造刀は、日本刀に詳しくない第3者が近付いて観ない限り、本物との見分けはできません。無用の混乱や不安を周囲に与えないよう、模造刀を露出した状態で携帯して外出することは、決してやってはいけないのです。

コスプレのイベントなどで模造刀を使用するために持ち運びたいときは、布で巻いて袋の中に収納するなどして、刀身が簡単に「抜き身」の状態にならないようにしておけば、「携帯」ではなく「運搬」と見なされ、銃刀法に触れることにはなりません。

模造刀を楽しむのは、不用意に持ち歩くようなことはせず、あくまで自宅内や該当施設での居合練習、または鑑賞にとどめておくことが大切です。

刀剣・日本刀を運搬するとき、気を付けるべき注意事項についてご紹介します。

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