日本刀の基礎を学ぶ
日本刀とは
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皆さんは、「日本刀」(刀剣)についてどのくらいご存知ですか。 ものすごく詳しい人もいれば、ほとんど分からないという方もいらっしゃると思います。 「刀剣ワールド(刀剣広場)」では、日本刀(刀剣)についてほとんど知らない人にも、日本刀(刀剣)とは何か、日本刀(刀剣)とはどんなに素晴らしい物なのかをご紹介します。

日本刀とは何なのか?

「日本刀」(刀剣)とは、日本古来の「武器」だと思ってはいませんか? その答えでは、半分正解で、半分不正解です。

確かに日本刀(刀剣)は、一番はじめは武器として誕生し使用されていました。しかし、1945年(昭和20年)の第二次世界大戦の敗戦後、GHQの方針により武器としての所有は認められませんでした。のちに、「日本刀(刀剣)は武器ではなく美術品」だとする主張が認められて、やっと所有が許されたという経緯があります。

そのため現代において、「日本刀(刀剣)とは何か」ということを正式に定義するならば、単なる武器ではなく美術品(宝物)であり、日本古来の製法に則って生み出された「玉鋼」(たまはがね:良質な鉄)を原料とする刀剣類ということができます。刀剣類には、「太刀」(たち)、「打刀」(うちがたな)、「脇差」(わきざし)、「短刀」、「槍」、「剣」、「薙刀」(なぎなた)、「鉾」(ほこ)を含みます。

日本刀(刀剣)は美術品(宝物)として、姿、鍛え、刃文、彫り物等の美しさを楽しむ物なのです。

日本刀の歴史区分

それでは、日本刀(刀剣)は、一体いつ頃誕生したのでしょうか。日本刀(刀剣)の特徴は、「反り」が付いた「湾刀」であること。美しい反りのある太刀が完成したのは、武士が誕生した11~12世紀以降、平安時代中期と考えられています。

日本刀(刀剣)の歴史は、大きく3つの時代に分けられます。慶長年間以前に作られた日本刀(刀剣)を「古刀」(ことう)、慶長元年からを「新刀」(しんとう)、天明元年頃から明治維新頃までを「新々刀」(しんしんとう)。また、「現代刀」(げんだいとう)とは、新々刀期以降から今日までに制作された日本刀(刀剣)のことです。ちょうどこの期を境に、日本刀(刀剣)の材料や作り方、戦法が変革。歴史的にも社会的に重大な出来事が起きているのです。

古刀期 平安時代~文禄4年(~1595年)
新刀期 慶長元年~宝暦13年(1596~1763年)
新々刀期 明和元年~明治9年(1764~1876年)
古刀とは
  • 手持ちが軽く、味わい深い。
  • 伝法を守った作りをしている。
  • 茎(なかご)に化粧やすりなどが施されておらず、錆も多く付いている。
  • 刃中(はちゅう)には豊富な働きがある。(刃文に多彩な模様が生じる。)
新刀とは
  • 反りが浅く、重量感がある。
  • 直刃で、「帽子」(鋒/切先の刃文)が乱れ込まない。
  • 二字銘が少なく、長銘(ながめい、ちょうめい)が刻まれる。受領名(ずりょうめい:武家や神職などの非公式な官僚名)が付くことが多い。
新々刀とは
  • 刃文が沈み気味である(刃文と地の境界線が暗く、反射しづらい)が、際立って堅い刃
    となっている物も多い。
  • 古刀期の上位作の写しを行なっている物が多い。
  • 新刀期にはあまり見られなかった短刀が多く作られている。

日本刀の種類

日本刀(刀剣)とは、美術品(宝物)であり、日本古来の製法に則って生み出された、玉鋼(たまはがね:良質な鉄)を原料とする刀剣類のことです。日本刀(刀剣)は、1種類ではありません。形状や大きさの違いから8種類に分けられることも、知っておきましょう。

直刀(ちょくとう)
直刀(ちょくとう)は、古墳時代から奈良時代にかけて作られました。形状が真っ直ぐか、わずかに内反りとなっており、反りがほとんどありません。反りがある物を太刀や打刀と言います。

刀身は、平造り(峰から刃先までが平らな形)、もしくは両切刃造(もろきりはづくり:鎬筋が鋒/切先に抜けており、棟側にも刃が付いている形)です。

直刀(刀身)

直刀(拵)

直刀

太刀(たち)
太刀(たち)は、平安時代後期から室町時代初期にかけて作られ、刃を下にして腰に吊して用いられました。一般的に、鎬があって、反りを持った日本刀(刀剣)を指し、刃長が2尺3寸~2尺6寸(70~80cm)くらいあります。

美術館や博物館などで、刃の部分を下にして展示されているのが太刀です。

太刀(刀身)

太刀(拵)

太刀

打刀(うちがたな)
打刀(うちがたな)は、室町時代の中期から江戸時代の末期にかけ、目標物を断ち切ったり、刺し突きしたりするための道具として作られました。刃長は2尺(60.6 cm)以上と太刀よりもやや短めですが、太刀とは逆に、刃を上にして腰に差します。

打刀のなかには、刺し突きする効果を増大させるため、先端の鋒/切先部分から刀身の半分以上を両刃にした作り(擬似刃)の物も存在。なお、太刀を磨上げて短くし、打刀とした物もあります。

打刀(刀身)

打刀(拵)

打刀

脇差(わきざし)
刃長が1~2尺(30~60cm)の物を脇差と言い、打刀と同じく腰に差します。江戸時代の武家諸法度によって、武士は大・小の日本刀(2つの日本刀)を装備するように定められたため、脇差の需要が増大。

なお、脇差は正規の日本刀(刀剣)ではないという扱いから、非武士身分の者でも装備を許されていました。

脇差(刀身)

脇差(拵)

脇差

短刀(たんとう)
長さが1尺(約30cm)以下の日本刀(刀剣)を短刀(たんとう)と総称し、「鍔」(つば)が付いていないのが特徴です。

短刀は、所持の方法によって「懐刀」(ふところがたな)や「腰刀」(こしがたな)とも呼ばれます。また、粗製な短刀の隠語は「ドス」です。

短刀(刀身)

短刀(拵)

短刀

(けん・つるぎ)
刀身の両面に刃があり、反りがなく、長い諸刃の刀を剣(けん・つるぎ)と言います。
薙刀(なぎなた)
薙刀

薙刀

薙刀(なぎなた)は、相手を薙ぎ払うために使われていました。長い柄の先に刀身があり、刀身の先端にかけて反りが付いている物や、両刃(もろは)となっている物もあります。

また、薙刀に類似した「長巻」(ながまき)がありますが、長巻は太刀を扱いやすくするために、柄の部分を長くした「柄の長い刀」であるため、薙ぎ払うことを考えて刀身や柄を作った薙刀とは大きく異なるのです。

(やり)
槍

槍(やり)は、日本最古の狩猟道具であり、長い柄の先端(穂先)に剣の形状をした刃をはめ込み、刺し突きするために作られました。

穂先部分の形状は、時代や使用方法により大小・長短が異なります。

日本刀のススメ

はじめて日本刀(刀剣)を間近で観た人は誰もが、その静寂で神秘的な美しさに心を奪われてしまうことでしょう。鉄でできた日本刀(刀剣)に、なぜこれほど魅力を感じるのでしょうか。

日本刀(刀剣)は、日本の伝統工芸品。切れ味や強度という実用面はもちろん、焼入れや彫り物など、美しさにおいても高度な技術を誇っています。また、長い歴史の中で、様々な武将や有力者に所有され、多くに物語(エピソード)が備わっているのも魅力。

日本刀(刀剣)に興味がある、日本刀(刀剣)が好きという人は、概して「日本の歴史が好き」、「武将が好き」という人が多いように思います。日本刀(刀剣)を作った刀工や、所持していた武将の一生を追ってみるなど、日本刀(刀剣)の来歴を辿れば、日本史を深く味わい楽しむことが可能。歴史に思いを馳せ、知識を身に付けるほどますます魅力が感じられる、こんなに素晴らしい物はありません。

時代ごとに姿を変え、勇ましい武士に寄り添い腰に携帯されてきた日本刀(刀剣)。武士の魂と言われるほど長きに亘り信仰の対象として、さらに持つ人の権威の象徴として、現代まで大切にされてきました。日本刀(刀剣)は、人間を守ってくれる物でもあり、人間を傷付ける物でもあります。本来は錆びていってしまうはずなのに、受け継がれることによって、何百年も美しさが保たれている神秘的な物です。神社や寺に奉納されるような尊い物なのに、博物館等に行けば、気軽に観ることができます。

この刀剣ワールド(刀剣広場)が、「日本刀(刀剣)についてもっと知りたい」、「本物を観に行きたい」という、あなたの探究心を満足させる物になれば幸いです。

剣(つるぎ/けん)とは

日本刀(刀剣)と似た言葉に「剣」(つるぎ/けん)があります。

「刀」はイメージできるけど、剣についてはあいまいだという方は多いのではないでしょうか。日本においては、刀と言えば日本刀(刀剣)を指すのが一般的。他方、剣についても「刀剣」という言葉があることからすると、いわゆる刀と全く無関係であるとは言えません。

両者はどのような関係にあるのでしょうか。また、日本刀(刀剣)や木刀を用いた古武道については「剣術」と称され、その後「剣道」へと発展していったように、武術(武道)の世界においては「刀」ではなく「剣」の文字が用いられています。その理由は?ここでは剣について、考察します。

日本における剣の歴史

銅剣・鉄剣

銅剣・鉄剣

剣は、全世界において出土例がある武器。日本においてはいわゆる刀剣類の中で、最も古い歴史を有していると言われています。その素材も、鉄を使用した鉄剣や青銅を使用した銅剣、さらには石を使用した石剣まで、様々な物が用いられていました。

なかでも銅剣については、弥生時代の遺跡から出土していることから、遅くとも弥生時代には大陸から日本に伝来し、制作・使用されていたと考えられるのです。銅剣は当初、武器として使用されていたと考えられていますが、次第に巨大化。祭祀用の道具としての意味合いを強めていったのです。

その裏には、大陸から鉄が伝来したことがあったと言われています。青銅に比べて耐久性に優れている鉄は、剣にはうってつけの素材。そして、日本独自の製鉄方法である「たたら製鉄」法が考案され、自前での鉄生産が可能となったことで、一気に鉄剣制作が広がりました。

もっとも、その後に片刃の直刀である大刀(たち)が制作されるようになると、片刃が主流に。鉄剣は有力者と共に古墳に埋葬されるなど、銅剣と同様に祭祀用として用いられるようになったのでした。

その例として、埼玉県行田市にある「稲荷山古墳」(いなりやまこふん)から出土した、115の「金象嵌」(きんぞうがん:彫刻した溝に金をはめ込む装飾手法)の文字が施された鉄剣(国宝)が挙げられます。

剣と刀はどう違う?

剣と刀

剣と刀

それでは、剣と刀の違いはどこにあるのでしょうか。一般的に言われているのは、剣は諸刃(もろは)であり、刀は片刃であるということ。

平安時代の辞典である「和名類聚抄」(わみょうるいじゅしょう)では、「調度部」(日用品のこと)において剣については「似刀而両刃曰剣」(刀に似て両刃であるのを剣と言う)、刀については「似剣而一刃曰刀」(剣に似て一刃であるのを刀と言う)と記されています。

すなわち、当時は両刃の物は剣であり、片刃の物が刀であるとして、形式的に区別されていたのです。

漢字の剣の成り立ち

漢字の剣の成り立ち

これは漢字にも表れています。剣の旧字である「劍」は、ふたの象形と口、人の象形が2つずつ並んだ右に、刀の象形を組み合わせた文字です。

左側のつくりは人が口を揃えてものを言う意味。これが転じて左右均等に鍛えられ、両側に刃がある諸刃の剣を表す文字になりました。剣と同様に漢字も大陸から伝来したもの。そのため、大陸と同じルールで剣という言葉が用いられていたのです。

このような状況に変化をもたらしたのは日本刀(刀剣)の出現でした。それまでの大刀に代わって刀身に「反り」のある日本刀(刀剣)が制作されるようになると、当時台頭しつつあった武士が戦(いくさ)で使用するようになります。

弓や日本刀(刀剣)での攻撃に対処するための防具として、「大鎧」をはじめとした「日本式甲冑(鎧兜)」の制作が開始されたことで、剣は武器としての意義を喪失し、「過去の物」になったのでした。

そうなると、剣と刀の両方が用いられていたとされている大陸とは異なり、日本では剣と刀を区別する実益はありません。そのため、剣と刀は刃の付いた武器であるという点において、「同じような物」であるという日本独特の意味が生じたと言われているのです。

剣の意味するもの

もっとも、剣と刀は全く同じではありません。

例として「真剣」という言葉を見てみましょう。この言葉は①本物の刀(刀身)や、②本気であるさまを意味しています。すなわち、①本物の刀を用いて行なう勝負が「真剣勝負」なのであり、②本気で勝ち負けを競うことが「真剣勝負」なのです。

日本刀(刀剣)は、人を殺傷するのに十分な能力を秘めている武器。これを手にした以上、命のやりとりをする覚悟で場に臨む必要があります。そこから、剣という言葉には、武器としての日本刀(刀剣)を手にする者の覚悟、生き様(全人格)も含まれていると言えるのです。

このように考えれば、古武道の剣術や、その発展形である剣道に剣の文字が用いられている意味を理解することができます。

他方、刀の字を用いた剣術や剣道に対応する言葉として、「刀術」や「刀道」が考えられますが、文献等においてこれらの概念を目にすることはほとんどありません。

国宝の剣

日本刀(刀剣)の世界においては「少数派」と言える剣ですが、2018年(平成30年)現在、国宝に指定されている作品は2振あります。

1振は大阪府にある「金剛寺」所蔵の剣「無銘 附黒漆宝剣拵」(むめい つけたりくろうるしほうけんこしらえ)で、もう1振が石川県にある「白山比咩神社」(しらやまひめじんじゃ)所蔵の剣「銘 吉光」です。

剣 無銘 附黒漆宝剣拵

平安時代に制作されたと言われている剣です。刀身の長さは62.2cm、幅3.3cm。附属の拵の柄は「三鈷杵」(さんこしょ)と呼ばれる密教の法具と同様の形をしていることから、武器としてではなく、密教の儀式で使用されていたことがうかがえる作品です。

この剣は、金剛寺中興の祖と称される「阿観上人」(あかんしょうにん)が使っていたと言われています。

剣 銘 吉光

「五箇伝」のひとつ「山城伝」の代表的流派と言われている、「粟田口派」(あわたぐちは)の名工「吉光」によって鎌倉時代に制作された1振です。

加賀藩4代藩主「前田綱紀」(まえだつなのり)が、母「清泰院」(せいたいいん)の冥福を祈って白山比咩神社へ奉納したと言われています。

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