「大坂新刀」の代表刀工であり、「大坂正宗」とも称される名工「井上真改」の日本刀は、刀と太刀がそれぞれ1振ずつ重要文化財に指定されています。
そのうち太刀の方は、備前国岡山藩(びぜんのくに・おかやまはん:現在の岡山県岡山市)2代藩主「池田綱政」(いけだつなまさ)が、1678年(延宝6年)に「吉備津彦神社」(きびつひこじんじゃ:岡山市北区)に奉納した刀。重要美術品に指定されている本刀には、同神社所蔵の重要文化財と同じ年紀銘(延宝五年八月日)が切られているのです。
本刀の作風は、匂口(においぐち)が深く、刃中の明るい湾れ(のたれ)の刃文となり、地沸(じにえ)が微塵に厚く、よく付いています。
本刀を鍛錬するにあたり、身を清めて最高級の素材を用いたと伝えられる真改。本刀は、そんな彼の本領が十分に発揮された、最高傑作の美しい名刀です。