「村正」とは、伊勢国桑名(いせのくにくわな:現在の三重県桑名市)を代表する刀工一派のこと。室町時代の1501年(文亀元年)から安土桃山時代の1576年(天正4年)まで、3代にわたって繁栄しました。
いちばんの特色は、普通では揃わない表裏の刃文が見事に揃っているところ。傑作が多く切味も良いので元々知られていましたが、村正は「徳川家康」率いる徳川家に災いをもたらしているという「妖刀伝説」が流布し、さらに有名になったのです。
本刀は、最も優秀と言われた、「3代村正」が作刀したと伝わる1振。鋒/切先(きっさき)が延び、匂口の締まった大湾れ(おおのたれ)に小互の目(こぐのめ)、足、葉(よう)が盛んに入って、表裏の刃文もぴったりと揃っています。豪壮な姿で、見るからに「3代村正」と判別できる、秀逸な1振です。