本刀は、明治時代の日本海軍元帥(げんすい)「東郷平八郎」(とうごうへいはちろう)遺愛の1振です。春光は、「末備前」(すえびぜん)の刀工のひとり。同銘を切る刀工は、複数名が存在しますが、その中でも本刀を制作したとされる「十郎左衛門」(じゅうろうざえもん)の名が、最もよく知られています。
「天文16年」(1547年)紀が銘に切られている本刀は、反りは浅く先反りが付く、室町時代後期の特色をよく示した造り込みであることが窺えるのです。また、鍛えは板目肌がよく練れて詰み、地沸(じにえ)が厚く付き、広直刃調(ひろすぐはちょう)に小足・葉が入るなど、末備前物の作風が顕著に示されており、十郎左衛門尉春光の代表作でもあります。