陣羽織
江戸時代 中期
まるにたちあおいもんじんばおり 丸に立葵紋陣羽織

青地である陣羽織の背に、白色で配されている紋章は、本多氏(ほんだし/ほんだうじ)の表紋(おもてもん)として知られる「丸に立葵紋」です。
ただし、通常の「本多立葵」は、茎の分かれ目が右側に来る、いわゆる「右離れ」の意匠ですが、本陣羽織の立葵は、「左離れ」になっています。これは、本多氏の中でも、「本多正信」(ほんだまさのぶ)の弟・本多正重(ほんだまさしげ)の系列で、上野国沼田藩(こうずけのくに・ぬまたはん:現在の群馬県沼田市)藩主であった本多家の表紋。
本陣羽織は、同藩3代藩主「本多正矩」(ほんだまさのり)より伝来しました。本多正矩は、のちに駿河国田中藩(するがのくに・たなかはん:現在の静岡県藤枝市)初代藩主にもなった大名です。
本陣羽織の裏地に使用されているのは、異国情緒漂う、個性的でお洒落な文様が描かれた輸入物の生地。保存状態も非常に良く、健全な高級品です。