本甲冑は兜と袖が板物素懸威(いたものすがけおどし)で、面頬の垂が板物毛引威(いたものけびきおどし)。そして草摺(くさずり)が切付毛引威(きりつけけびきおどし)になっています。
それぞれの部品において威し方が違うため統一性がないようにも見えますが、啄木糸(たくぼくいと)の耳糸(みみいと)で統一されていることから、紛れもない揃いの具足です。啄木絲は啄木鳥(きつつき)の胸毛に似たまだら模様で個性が表れています。
また、十二支や八卦(はっけ:古代中国から伝わった易における基本的な8種の象徴)を思わせる緞子(どんす)の家地(いえじ)は保存状態が良好です。