32名が受賞、新時代での活躍を誓う

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アーカイブ ※この記事は2019年7月15日に発行されたものです。

平成年間に優れた作品を製作し、刀剣界に大きな貢献を残した刀匠たちを顕彰する公益財団法人日本美術刀剣保存協会・公益財団法人日本刀文化振興協会・全日本刀匠会主催の「平成の名刀・名工展」が五月十八日、岡山県の林原美術館を皮切りに開幕した。

これに先立って五月十七日、ホテルグランヴィア岡山を会場に授賞式が挙行された。

会場には受賞者のほか、主催・共催・審査などの関係者が全国から参集、晴れがましい雰囲気の中、公益財団法人日本美術刀剣保存協会・酒井忠久会長の開式の辞で開始となった。

冒頭の式辞は同展運営委員会の渡邉妙子氏(佐野美術館館長)が述べた(別掲)。次いで、審査委員長の稲田和彦氏(京都国立博物館名誉館員)からは、「他の工芸に比べて重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定が斯界に久しくないことは、関係者の一人として誠に寂しい。ぜひ近々の認定を」と、刀剣関係者の意思を代弁して強いアピールがあった。

本展の実現に向けては「刀剣・和鉄文化を保存振興する議員連盟」と文化庁の強い後押しがあったが、同連盟事務局長・山田宏参議院議員と文化庁・宮田亮平長官(文化財第一課長・平山直子氏代読)から祝辞が寄せられ、平成に引き続き令和の新しい時代においても作刀界の発展を期待する旨が伝えられた。

受賞者(別掲)は一人ずつ壇上に立って運営委員長から栄誉の賞状・賞杯を授与された後、祝賀会に参加した。

なお、本展は今回限りの顕彰展であるが、今後は新たな基準に基づき、三団体が共催するコンクールとして発展させ、継続開催することが期待されている。

ご挨拶

「平成の名刀・名工展」運営委員長 渡邉 妙子

令和元年5月の良き日に、「平成の名刀・名工展」開会式が、国会議員、文化庁など多くの方々にご参集いただき、盛大に開催されますこと、有難く、厚く御礼を申し上げます。

三十余年に及ぶ平成の時代は、昭和の名工たちの後を受けて、刀工たちの努力が実り、安定して、バランスの取れた名刀が多く作られた時代でした。まず地鉄の供給には、日刀保たたらが日立金属株式会社のお力添えを得て供給され、また、自家製鋼については各々の努力によって特色ある地鉄の作品が生まれました。作風も備前伝が展覧会会場を華やかに彩り、一方、相州伝の力強い沸出来も作られ、これらの作品は人々の感動を呼びました。

さらに振り返れば、昭和の時代は敗戦により、日本刀鍛造が禁止されるという日本刀史上初めて体験する苦境に遭遇したわけですが、わが民族の忍耐強さと、伝統を守ろうとする努力を惜しまぬ姿勢によって、高橋貞次(昭和30年)・宮入行平(昭和38年)・月山貞一(昭和46年)・隅谷正峯(昭和56年)四氏の重要無形文化財保持者が生まれました。次いで、平成に入り、天田昭次・大隅俊平(平成9年)が認定されました。

わが国の伝統工芸の中で、日本刀はその品格の高さにおいて、世界の人々が認める優れた芸術であります。

現在、日本刀を製作する刀工たちが競う展覧会は三つあり、公益財団法人日本美術刀剣保存協会、公益財団法人日本刀文化振興協会、全日本刀匠会がそれぞれ主催しております。各展とも独自の特色を持つ展覧会であります。

「平成の名刀・名工展」は、明日より日本刀のメッカとも言うべき岡山県の林原美術館を皮切りに、東京の刀剣博物館、長野県の坂城町鉄の展示館で開催されます。平成の名工たちが全身全霊を込めた名刀が展示されております。

本日の受賞者は、平成の御代に各会の受賞歴から選定された名工たちであります。受賞者たちの栄誉に万雷の拍手でお祝いしたいと思います。

「平成の名刀・名工展」受賞者
◆平成の名刀・名工大賞
河内 道雄(奈良県)
月山  清(奈良県)
宮入 法廣(長野県)
吉原 義人(東京都)

◆平成の名刀・名工準大賞
三上 孝徳(広島県)
宮入 恵(長野県)

◆特別奨励賞
久保 善博(広島県)
川﨑 仁史(埼玉県)

◆奨励賞
高見 一良(兵庫県)
明珍 祐介(兵庫県)

◆平成の名刀・名工選
加藤 政也(栃木県)
松葉 一路(宮崎県)
木村 光宏(熊本県)
河内 一平(長野県)
吉原 荘一(東京都)
松川  隆(長野県)
上山 陽三(岡山県)
石田 智久(群馬県)
尾川 光敏(岐阜県)
赤松 伸咲(岡山県)
上林 勇二(山形県)
小宮 治気(福岡県)
月山 一郎(奈良県)
山口  武(岩手県)
根津  哲(長野県)
吉川 三男(東京都)
松田 周二(千葉県)
宗  正敏(福岡県)
瀬戸 吉廣(福岡県)
小宮 早陽光(福岡県)
加藤 賀津雄(岐阜県)
宮城 正年(宮城県)
※応募者41名、入選者32名、掲載は受付順

「平成の名刀・名工展」開催概要

(岡山会場)
会場: 林原美術館
会期: 令和元(2019)年5月18日(土)~7月7日(日)

(東京会場)
会場: 刀剣博物館
会期: 令和元(2019)年8月24日(土)~10月6日(日)

(長野会場)

会場: 坂城町鉄の展示館
会期: 令和元(2019)年11月9日(土)~2(2020)年2月2日(日)
主催: 公益財団法人日本美術刀剣保存協会
公益財団法人日本刀文化振興協会
全日本刀匠会
共催: 刀剣博物館・坂城町鉄の展示館・林原美術館・山陽新聞社・SBC信越放送
協力: 文化庁

(審査員)
審査委員長   稲田 和彦 (京都国立博物館名誉館員)
審査副委員長  原田 一敏 (ふくやま美術館館長)
委員      佐々木正直 (群馬県立館林美術館館長)
委員      内藤 直子 (大阪歴史博物館学芸第二係長)
委員      三島 和美 (大倉集古館元学芸員)
委員      三角 正人 (塚本美術館副館長)
委員      渡邉 妙子 (佐野美術館館長)

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