贋作現代刀を巧妙に偽る手口が発覚

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アーカイブ ※この記事は2018年3月15日に発行されたものです。

この度、公益財団法人日本美術刀剣保存協会(酒井忠久会長、以下「日刀保」)の指摘により、新しい手法で作成された改変鑑定書と偽造刀が流通していることが判明したので、注意をされたい。

本品は、鑑定書を正真作で二通取得し、後に偽物の写真を張り替え、かつ登録証での発覚を防ぐためか正真作と、再申請で取得した登録証を付け替え、正真作の鑑定書に記載されている登録証の情報の書き換えをわざわざ日刀保に依頼するなど、手間がかけられており、見かけではまず判別が不可能である。

かつての偽造認定書問題では業界の信頼が大きく傷つけられ、業者、愛刀家、そして日刀保とすべての関係者が大きく損失を被った。今回もその二の舞にならないように、早急な対応が必要である。

●本件の発覚について

資料にある通り、本作には本物の鑑定書が付けられている。日刀保の説明によると、本件は、まず平成二十五年八月に真作で保存鑑定書を取り、平成二十六年七月に再度同作で保存鑑定書を取得、平成二十六年九月二十五日に大阪府教育委員会で再度の登録書を取得、その直後、この登録書を正真作に添えて鑑定書の登録証番号書き換えの依頼が日刀保にあったということである。

正真作は偽造刀で取得した登録書を添えて平成二十七年五月の交換会に出品され、某刀剣商が購入。偽物は二枚目の鑑定書の写真を偽物の写真に張り替え、正真作の登録証を添えて平成二十八年十月の交換会に出品された。これはおかしいと前記刀剣商が購入し、日刀保に確認したところ事態が発覚した。

現在、日刀保では弁護士に委嘱して調査を進めており、「業界としても自浄作用を働かせるべし」との内示を受けている。

●今回の偽物流通における問題点

①現代刀の偽造品に対する登録証の発行

今回の事件において、近年製作された昭和三十五年銘の高橋貞次の偽物が製作され、それに新規で登録書が発行されてしまったことがまず問題である。確実に登録証が存在した現代刀には本来、全国照会した上で再発行が行われ、旧登録証は失効するはずであるが、今回は正真作の登録証が生きたまま偽物にも登録証が発行されている。

②登録証をすり替えた上での販売は銃刀法違反

前記のように、本件は意図的に正真作と偽造刀を入れ替えて販売している。これは明確な銃刀法違反であるので、認識した上での販売は警察が捜査すべき問題であると思われる。

本件は、製作承認番号が添えられた現地発行の登録書でなければおかしいという私たちの常識の盲点を突く手法である。現代刀の偽物を見分けるには今後、登録証が入れ替えられたものかもしれないという認識を持つことが専門家にも必要であると思われるし、煩わしく迷惑である。

③鑑定書改造の巧妙さと手間のかけ方

本作は本物の鑑定書の写真を張り替えたものであるが、これは他の刀でもたやすく流用できる手法である。また、現物からでは日刀保に持ち込んで調査してもらわなければ看破はきわめて困難な代物であり、悪質である。

また日刀保でも、認定書の原籍の確認に加え、証書の真偽の確認までするのに膨大な手間を要する。

業者間であれば無償返還で解決される問題であるが、お客さまに渡って発覚した場合は取り返しのつかない信用問題に発展する。何より愛刀家が被害を被り、美術刀剣全般の信用破綻により未来のお客さまも離れてしまうことは業界にとって致命的である。

業者間での周知徹底と、一般の愛刀家へのお知らせ、教育委員会への報告や日刀保との協力など、撲滅に向けて当組合としても最大の努力をしていく所存である。

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