「日本刀名匠」の称号誕生の経緯について

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アーカイブ ※この記事は2018年7月15日に発行されたものです。

公益財団法人日本刀文化振興協会

公益財団法人日本刀文化振興協会では五月二十六日、「第九回新作日本刀 研磨 外装 刀職技術展覧会」の授賞式を挙行するとともに、平成三十年度「日本刀名匠」認定書授与式を執り行い、柳井俊二会長より初めての認定者となる栄えある十八名に対し認定証が授与されました。

全国で四番目、刀剣界としては初の公益財団法人に認定された当協会では、発足当初より、既に卓越した技量と作品実績を持った刀職者に対しての処遇について検討してはどうかなどの議論がありましたが、まずは「新作日本刀 研磨 外装 刀職技術展覧会」の開催など十分な実績を積んだ上で、より良い制度を作っていこう、との方針を立てました。この間、関係官庁ほか、各関係者にヒアリングを行い「せっかく新しい団体を作ったのだから、一般の方にも理解しやすい名称を考え、処遇してはどうか」などの声も頂き、またアンケート調査を行い「認定についての素案策定委員会」を立ち上げ、理事会などで時間をかけて検討してまいりました。

その結果、同展覧会も第九回開催を迎えるまでになり、機も熟したと判断し、主催コンクールでは審査の対象外とする処遇で、新しく「日本刀名匠」認定制度を作りました。日本刀名匠の後に作刀・刀身彫刻、研磨、刀装具(鐔・小道具)、白銀、鞘(白鞘・拵下地・拵)、柄巻、鞘塗の各分野を記載することにより、具体的な専門分野もわかるようにいたしました。「現代版刀職者マイスター」とも言える名工認定の位置づけであります。

認定制度を設計するに当たり、特に留意した点は、
・ 刀剣界以外でもわかりやすく、広く国内外でも通用する称号にすること
・ 刀職者の「名工の証」であるということがわかる表記にすること
・ 英語表記を加えることにより海外の刀剣ファンにも通じる表記にすること
・ 認定規定に基づき正しい手続きの下、当代トップクラスの刀職者として認定すること
・ 認定者の賞歴・プロフィールなどをホームページで順次公開すること
・ これからの刀職者にとって目標となる位置づけにすること
などでありました。

以上を課題とし、格調が高く明らかに日本刀と関係があり、刀職者の中でも職種がわかる名称として「日本刀名匠」という称号にいたしました。例えば「日本刀名匠(作刀)」は英語表記で”Certified Master Japanese Swordsmith”となり、非常に明快です。

このように「日本刀名匠」の決定には時間も要しましたが、協会発足後、この十年のさまざまな思いが込められており、次代を担う刀職者にとって目標となる素晴らしい名称が誕生したと思っております。

「日本刀名匠」は公益財団法人日本刀文化振興協会が関係官庁の後援を受けた過去の賞歴を基準に称号として授与するもので、既述の通り、認定者の賞歴・プロフィールと規定を明確にホームページ上で公開してまいります。新しい名称が認知されるまでは時間がかかると思いますが、認定書授与後のSNSでの反応は非常に好印象でした。

次代を担う刀職者にとりまして新たな目標となり、その結果、刀職技術が向上することは刀剣愛好者の目を楽しませることにもなり、刀剣界にとって非常に良いことだと考えます。皆さま方には今後とも厳しく、また励ましの思いで見守っていただきたく存じます。

平成三十年度「日本刀名匠」認定者
(敬称略・五十音順)
作刀分野: 月山清、川﨑仁史、吉川三男、吉原荘二、三上孝徳、宮入恵
研磨分野: 阿部一紀、佐々木卓史、高岩節夫、眞鍋謙次、吉田秀雄
白銀分野: 宮下武、宮島宏
鞘分野: 剣持直利、高山一之、森雅晴、森隆浩
柄巻分野:岡部久男

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