戦後初期の刀剣所持制度の変遷から

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アーカイブ ※この記事は2018年5月15日に発行されたものです。

昭和二十年の終戦から数カ月は、日本刀は機関銃などと同様に武器と見なされ、GHQの指令に基づいて接収され、廃棄されました。

その後、先人たちの努力で、美術品と認められる日本刀に対しては、審査を経て所持することが許されました。

紆余曲折はありましたが、二十五年十一月二十日に「銃砲刀剣類等所持取締令」が施行になり、翌年二~三月から都道府県ごとに「銃砲刀剣類登録証」(以下、登録証)の発行が始まり、現在に至っています。

どんな名刀でも所持できなかった最初の時期、次に美術的価値のある日本刀のみが所持を許され、さらにその相続や譲渡もできるようになるまでには、多くの時間を要したことも認識しておかなくてはなりません。

なぜ「所有者変更届」をしなくてはならないかについては、登録証の原点とも言うべき「銃砲刀剣類等所持取締令制定案の要綱について」(昭和二十五年十一月第三次吉田内閣次官会議資料)に見いだすことができます。

要項は十五項目からなっていますが、所有者変更に関する箇所を抜粋すると、「三、文化財保護委員会の登録を受けた刀剣類及び銃砲は、何人(なんびと)がこれを所持しても差支えはないが、これを譲り受け、若しくは相続した者は、(中略)文化財保護委員会に届出を要することとした。四、右のように登録を受けた銃砲又は刀剣類は以後何人でも所持し得るようにしたが、治安上の観点からこれを全く放任することはできないので文化財保護委員会は、前号の届出を受けたときは、その旨を公安委員会に通報することにより、公安委員会が、これらの銃砲又は刀剣類の移動状態を確知し得るようにした。五、第三号の場合において届出しない者に対しては懲役又は罰金を科すると共に、その違反行為に係る刀剣類及び銃砲は、裁判により没収することができることとした。」と明記されています。

登録証の裏面に記載されている注意事項も年々、徐々に改正されてきました。当初は所有者変更についての記載は全くありませんでした。その後「譲り受け若しくは相続し(中略)場合にはすみやかに其旨を登録の事務を行った都道府県の教育委員会に届け出なければならない」と明記され、さらに「すみやかに」が「二十日以内」と訂正されました。

近年では「以上の各事項に違反した場合には、法により懲役又は罰金の刑に処せられることになる」が追加されました。

東京都は、登録証に関する諸注意事項についてわかりやすいパンフレットを配布しており、その中で罰則に関しては次のように説明しています。

「登録された銃砲刀剣類を譲り受けたり相続した場合、二十日以内に届け出をしなければならないことになっています。手続きを怠ったり虚偽の届出をした者は一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処せられます。(銃刀法第三十二条三号)」

銃砲刀剣類の所有者変更届がなぜ必要なのかを要約すると、「治安上の観点から公安委員会が移動状態を確知し得るようにした」ことが大きな理由です。

登録証の発行が開始して既に六十七年が過ぎ、その数は二百三十万件を超えています。前記の理由から所有者変更届は行わなければなりません。と同時に、登録証の中にはさまざまな理由により不備が見つかる場合もあります。

このような場合、関係機関が一体となって協力し合い、正確な登録証の再発行を期するとともに、美術的価値のある日本刀を後世に伝える義務があります。

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