佐野美術館に刀剣を観に行こう!
佐野美術館は、化学工業の先覚者として近代日本の発展に寄与した故・佐野隆一氏の寄付によって開設された美術館です。刀剣・日本刀の他、陶磁器、青磁器、金剛仏、書画など多数の美術工芸品が収蔵されており、隣接する回遊式日本庭園「隆泉苑」も散策の場として人気です。
1966年(昭和41年)に設立。実業家 故佐野隆一氏は、出身地である静岡県三島市に様々な形で貢献しており、そのひとつが美術館の設立でした。日本、東洋の優れた美術品を約2,500点収蔵しています。
- 交通アクセス
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静岡県三島市の「佐野美術館」への交通アクセス情報をご紹介します。
佐野美術館- 所在地
- 〒411-0838
静岡県三島市中田町1-43
- アクセス
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- 電車・鉄道でお越しの方
- 伊豆箱根鉄道駿豆線
「三島田町駅」下車
徒歩4分
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- 路線バスでお越しの方
- 「佐野美術館バス停」下車
徒歩1分
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- 高速道路ICでお越しの方
- 東名高速道路「沼津IC」から
8km
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1.佐野美術館に到着!
佐野美術館は、真っ白な外壁が美しい近代的な建物。美術館の北側には庭園・隆泉苑があり、登録有形文化財である日本家屋と門があります(日本家屋内は通常非公開)。
館内は、ガラスを効果的に使用した明るい空間、1階にはミュージアムショップと受付、講堂などがあります。2階には3室の展示室と常設展示室、映像コーナーがあります。
取材時には、展覧会「REBORN蘇る名刀」が開催されており、開館直後から多くの来場者が訪れていました。
明るくて
キレイな館内
ですね!

2.展覧会「REBORN 蘇る名刀」
佐野美術館で2019年2月まで開催されていた「REBORN蘇る名刀」では、由緒ある名刀・58口が展示公開されていました。
火災に巻き込まれ「焼身(やけみ)」となりながらも、「焼直(やきなお)し」を経て「再刃(さいは)」され、光り輝く姿となった名刀や、数多の戦乱や天災をくぐり抜け、現代へと受け継がれてきた貴重な刀剣が由緒と共に紹介されていました。
鉄から造られる刀剣は、火災に遭って変形し、焼けただれてしまっても、刀工による焼直しが可能な場合もあるのです。
今回の展覧会では再刃、罹災した姿の刀剣の他、災禍を免れて現代に伝えられた平安〜鎌倉時代の刀剣を展示。佐野美術館の所蔵品に加え、全国から集められた名刀を鑑賞できる内容でした。
- 展示期間
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2019年1月7日(月)
~2月24日(日)※現在は開催されていません。
佐野美術館所蔵の刀剣・日本刀より
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鎌倉時代・13世紀
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冠落造(かんむりおとしづくり)の鋭利な姿の短刀には、古代の鋒両刃造(きっさきもろはづくり、またはほうりょうじんづくり)の形式を受けています。反りは位置によって内に入り、そして外へ向かい、微妙な曲線を描いており、緊張感を感じさせます。地色は青く澄んでいて、微細な地沸(じにえ)が輝く美しい刀剣です。
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平安時代・12世紀
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姿は強健ながら、地鉄(じがね)は古備前の中でも抜きでた精美さをもつ太刀。小乱れの刃文は、古備前派の代表的名工であった師匠・正恒(まさつね)には及ばないものの、小沸(こにえ)には冴えが見られます。
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鎌倉時代・13世紀
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鎌倉時代に活躍した、山城国の名工・国行作の太刀は、中程から湾曲する大らかな反りを持っています。切先は、鎌倉時代中期の特徴である短く詰まった猪首(いくび)で、地鉄は細かい。刃文も美しく、完成度の高い刀剣です。
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鎌倉時代・13世紀
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鎌倉時代中期に山城国に台頭した来派の名工による本作は、鎌倉末期の典型と言える。静かな面持ちの刀剣。反りはやや腰反りで細身、鋒(きっさき)も小さい。
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鎌倉時代・13世紀
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備前長船の創始者と伝えられる備前国の名工・光忠の作。刃文は小丁子文(こちょうじもん)に強い沸(にえ)がついており、古備前の作風による太刀です。地鉄は白く鮮やかに冴えており、物打(ものうち)から帽子にかけての焼刃が深く、先には沸が強く入っています。
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鎌倉時代・13世紀
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備前国宇甘派(うかいは)の代表的名工・雲生作の本作は、徳川将軍家伝来の太刀です。細身で中反りの上品な姿、杢目を交えた肌理(きめ)の細かな美しい地鉄に、一門特有の丸く黒い地斑(じふ)が入っています。
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平安時代・12世紀
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伯州刀工の始祖と言われる伯耆国(ほうきのくに)の名工・安綱による太刀。腰反りから鋒へと流れるような反りが美しく、鎬(しのぎ)幅の狭さと相まって平安時代の優雅さを感じさせます。刀剣・日本刀の草創期の特色を体現しています。
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鎌倉時代・14世紀
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東大寺転害門前に居住していた手掻派(てがいは)の頭領である名工・包永の作。反りは浅く、鎬(しのぎ)は高く、鎬幅は広い。黒めの地鉄に、刃文は浅い湾れ(のたれ)で沸が強く、表裏で刃文が異なるなど、大和の典型的な作風です。
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鎌倉時代・13世紀
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備前国の名工・備前三郎国宗の作。伸びやかな反りの曲線が美しい直刃の太刀。地鉄はやや肌立った板目、刃文は匂(におい)が主調ながら小沸がついています。
造られてから
700年以上も
経っているとは
思えないな!
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3.刀剣以外の所蔵品
こちらも
盛況ですよ!

佐野美術館の常設展示室では、収蔵品の一部が公開されており、展示品は年に数回入れ替えられます。
刀剣・日本刀だけでなく、陶磁器、書画、装身具など幅広い美術品を収蔵する佐野美術館。重要文化財に指定されている仏像の他、今回は「男の粋(いき)-装身具にみる」というテーマのもと、印籠や煙草入れなどが展示されていました。
佐野美術館の所蔵品より
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祈りの文化を伝える仏像
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平安時代・12世紀
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- 1天部像
- 平安時代・12世紀
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- 2【重要文化財】 大日如来坐像
- 平安時代・12世紀
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- 3【重要美術品】 蔵王権現立像
- 平安時代・12世紀
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展示テーマ「男の粋-装身具にみる」
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江戸から明治時代の男のおしゃれを彩った装身具及び、実際に身に付けた様子の分かる浮世絵版画を展示。印や薬を携帯するための印籠、煙草入れ、筆入れと墨壺が一体化した携帯用の筆記用具・矢立(やたて)など約30点が紹介されました。
こうした装身具には、優美さや面白味を加味した装飾が施されることもありました。- 展示期間
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2019年1月7日(月)
~2月24日(日)※現在は開催されていません。
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江戸時代・19世紀
- 幕末から明治期に活躍した、漆芸家であり絵師であった名工、柴田是真作の黒漆塗五段の印籠。沢瀉と酢漿(かたばみ)が、高蒔絵、螺鈿(らでん)、切金(きりかね)、象嵌(ぞうがん)などの多彩な技法を用いて描かれています。
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江戸時代・19世紀
- 紅白に加え、黄金の花が描かれた印籠は、江戸時代に活躍した蒔絵師・田付孝則の作。大ぶりな花を随所に散らす、絢爛豪華で技を凝らした作品です。
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江戸〜明治時代・19世紀
- 金具部分は、幕末から明治にかけて活躍した、京都生まれの金工師・加納夏雄の手による煙草入れ。夏雄は、当初刀装具などを手がけていましたが、明治に入ると造幣寮に出仕し、硬貨のデザインも手がけました。
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江戸時代・19世紀
- 宮彫師の家に生まれた是真は、江戸・両国生まれ。幼少時より画を学びました。青海波塗を復興させた他、青銅塗・四分一塗・鉄錆塗・砂張塗・紫檀塗・墨形塗などを発明するなど、活躍した名匠として知られています。
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江戸〜明治時代・19世紀
- 作者不詳。機能的な造形に、桜と紅葉が鮮やかに描かれた矢立です。赤と銀の対比によって豪華な美しさがもたらされています。
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江戸〜明治時代・19世紀
- 作者不詳。墨壺に結わえられた革製の巾着の中には、物差しやはさみなどの小型文具が収められています。文具ひとつひとつの加工も微細で、機能的であるとともに、すっきりとした美しさを持つ仕上がりです。
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その他、人気の所蔵品
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嘉永元年(1848年)
- 僧の衣装を着けた赤鬼を描いた、葛飾北斎晩年の画。北斎が亡くなる前年に描かれました。酒と肴を前に、鋭くかつ悟ったような表情の鬼の姿は、人生の終焉を前にした北斎の心境を表しているようにも見受けられます。
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室町時代・15〜16世紀
- 禅宗の画僧が、修行のひとつとして描いた山水画。岳翁蔵丘は室町時代の画僧であり、水墨による山水画を得意としました。本作は、潤いと温かみのある墨調、細やかな筆致が美しく、岳翁の作品の特徴が表われています。
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室町時代・16世紀
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目貫(めぬき)・小柄(こづか)・笄(こうがい)の3品を1組とし、三所物(みところもの)と呼びました。この三所物は後藤家初代祐乗から14代桂乗までの倶利伽羅龍三所物を揃えた大名道具であり、鳥羽稲垣家が収集した物です。
年に4回程度
展示品の入れ替えを
しているそうよ
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4.お土産チェック
inミュージアムショップ

佐野美術館1階のミュージアムショップは展覧会ごとに商品を入れ替えています。収蔵品・展覧会の図録、書籍の他、ポスターやポストカード、マスキングテープ、重要文化財の大日如来坐像レプリカ、クリアファイルなど、魅力的なオリジナル商品を販売しています。開催中の展覧会に合わせたアクセサリーや和小物など、いつ行っても新たな発見があります。
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ポストカード 各100円
ブックマーカー(東軍)500円※ブックマーカーは2019年2月24日までの販売
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佐野美術館コレクション選 1,300円
日本刀 鑑賞のしおり 1,800円
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柳川直政作の鐔(つば)や下田舜堂作「紅白梅」のポストカードなどの商品が魅力。
オリジナルグッズも
多くて目移り
してしまうな!

5.日本庭園「隆泉苑」
佐野美術館に隣接する「隆泉苑」は四季折々の趣が感じられる庭園です。池には湧水が流れ、清らかな水音を奏でています。
池には鯉がいて
鴨も気持ち良さそうに
水浴びしているわ!

昭和初期に建築された日本家屋と門は、登録有形文化財であり、日本家屋では茶会や講座などが催されています(日本家屋は通常非公開)。
今回協力してくれたのは、
佐野美術館
静岡県三島市中田町にある佐野美術館は、実業家である故佐野隆一氏が寄贈した収集品を基礎として創設された美術館であり、日本、東洋の優れた美術品を約2,500件収蔵しています。敷地内には佐野氏が昭和初期に造成した日本庭園があり、人々の憩いの場として愛されています。収蔵品には国宝、重要文化財、重要美術品などがあり、刀剣・日本刀のコレクションでも有名です。常設展示は年に4回程度入れ替えられます。年間を通じての展覧会の開催に加え、近隣の学校で出張授業を行なうなど、展示公開だけでなく地域文化の発展にも積極的に取り組んでいます。
- [公益財団法人 佐野美術館]
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- 所在地:静岡県三島市中田町1-43
- 電話:055-975-7278
- HP:www.sanobi.or.jp
詳しくは施設の紹介ページをご覧下さい。
- この施設周辺の観光名所を探す
写真がいっぱい!
2019年2月の情報をもとに制作しています。 ※転載・複製を禁じます。
刀剣を展示・所蔵している
全国のミュージアム
刀剣博物館東京都
- 日本刀文化の保護・普及に貢献
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美術工芸品として、世界で認められている日本刀文化の普及のため、設立から60年以上の歴史をもつ、日本美術刀剣保存協会の付属施設として開設された博物館です。
刀剣・日本刀を文化財としてとらえ保存、展示公開しています。
多数の刀剣・刀装・刀装具・甲冑(鎧兜)・金工資料を所蔵し、刀剣類の中には国宝や重要文化財、重要美術品など、国の指定認定物も多く、平安・鎌倉・南北朝期の古名作を中心に、様々な年代・流派の作品を収蔵しています。- 所在地:東京都墨田区横網1-12-9
- 電話:03-6284-1000
- HP:https://www.touken.or.jp/museum/
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桑名市博物館三重県
- 村正ゆかりの地の博物館
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桑名ゆかりの名工・村正の企画展を全国で初めて開催し、好評を博した博物館です。
収蔵品は白川藩主・松平定信に関する資料の他、桑名藩政、文学、古萬古及び萬古焼(陶器)、天皇宸筆、茶道、考古民俗、絵画、郷土の浮世絵版画など、各方面に渡ります。
三重県初の市立博物館であり、特別展、企画展を年間を通じて開催しています。- 所在地:三重県桑名市京町37番地1
- 電話:0594-21-3171
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備前長船刀剣博物館岡山県
- 備前おさふね刀剣の里
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古くから刀の産地として知られていた備前国長船地域(現岡山県瀬戸内市長船町)にある、刀剣に関する博物館他の施設群。
常時、刀剣約40口を展示する他、刀装具や作刀・研磨工程の資料を展示しています。
また、併設されている「備前長船刀剣工房」では刀匠や塗師、彫金師が作業を行なっており、日曜日には研師、鞘師、柄巻師が仕事を公開していて見学、相談、仕事の依頼ができます。- 所在地:岡山県瀬戸内市長船町長船
966番地 - 電話:0869-66-7767
- 所在地:岡山県瀬戸内市長船町長船
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刀剣コレクション
桑名・多度(ホテル多度温泉)三重県
- 自然豊かな桑名市多度で刀剣の歴史にふれる
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東建多度カントリークラブ・名古屋にある、レジデンス新館の3階貴賓室ローズウッドとペガサスや、本館コンペルーム内の「刀剣コレクション桑名・多度(ホテル多度温泉)」では、平安時代をはじめ、鎌倉時代や室町時代などの重要文化財、重要美術品に指定された貴重な刀剣や甲冑(鎧兜)などを展示しています。
- 所在地:三重県桑名市多度町古野2692
- 電話:0594-48-5811
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刀剣コレクション
名古屋・丸の内(東建本社)愛知県
- 名古屋の市街地でゆっくり刀剣鑑賞
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重要美術品の刀剣をはじめ、甲冑(鎧兜)、槍、薙刀、火縄銃などを、2020年6月まで期間限定で無料公開。室町時代から江戸時代に伊達家や島津家が使用した甲冑(鎧兜)をじっくりと鑑賞することができます。
- 所在地:愛知県名古屋市中区丸の内
2-1-33 - 電話:052-232-8000
- 所在地:愛知県名古屋市中区丸の内
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