現代刀の名工・名匠無鑑査刀匠

久保善博 鹿児島県出身

無鑑査刀匠の称号を持つ刀工「久保善博」の生い立ちや、刀剣に関する功績、そして作刀した刀剣などについてご紹介します。
特定の展覧会や団体・個人において、過去の実績をもとに「審査・鑑査」を必要とせずに作品の出品が認められた刀匠である無鑑査刀匠。刀剣における「無鑑査」は「公益財団法人日本美術刀剣保存協会」が開催するコンクールにおいて複数以上、特賞を受賞することで認定されるため、刀匠としては最高位に位置付けされます。

久保善博 (本名:久保善博)

1965年(昭和40年)、久保善博(くぼよしひろ)は鹿児島県の離島・奄美大島で生まれました。

久保善博は千葉大学園芸学部を卒業後、同大学院にてバイオ研究で素晴らしい成果を収め、周囲からは大学教授や研究員になると期待されていましたが、久保善博は偶然観たテレビ番組で、「鎌倉時代の名刀は現在の技術では絶対に作れない」と語る刀匠の言葉に、「700年前にできたことがなぜできないのか?」と疑問を抱きます。そして鎌倉時代の日本刀を自らの手で再現したいと考え、刀匠の道を志しました。

大学院修了と同時に、東京で鍛刀場を営む刀匠「吉原義人」(よしわらよしんど)に入門。1994年(平成6年)に文化庁より作刀許可を得た久保善博は島根県に移住し、(株)ワイエスエス鳥上木炭銑工場の専属刀匠として作刀を開始します。

同年に新作名刀展に初出品。優秀賞及び新人賞を受賞します。その後も出品した作品が14年連続で入賞を果たし、久保善博は刀匠としての評価を高めていき、2001年(平成13年)には、島根県から広島県に拠点を移して「善博鍛錬場」を開設し独立したのです。

久保善博が目標とする鎌倉時代の備前刀に多く見られる模様「映り」は、現代の技術では再現不可能と言われてきました。しかし久保善博は、焼き入れによって現れる模様のデータを採取するなど科学的な実験を重ね、当時の技術の再現に取り組みました。

2005年(平成17年)には日本鉄鋼協会誌「鉄と鋼」にて、たたら製鉄(日本に古くから伝わる製鉄法)についての論文を発表。2007年(平成19年)には念願の映りの再現に初成功し、その刀が新作名刀展の最高賞である会長賞を受賞したのです。そして2017年(平成29年)、これまでの功績が評価され、無鑑査に認定されました。

その他、東京工業大学にて刀剣や製鉄についての研究発表を行うなど、研究活動にも力を入れています。

久保善博はあるインタビューで、「このまま研究活動を続けていけば、60歳までには鎌倉時代の古刀と見間違うほどの日本刀を作刀できると思います」と語り、自身が刀匠へと踏み出すきっかけとなった目標に向かい、現在も歩み続けています。

久保善博が作刀した刀剣

太刀 銘 備後國住善博作 平成十九年春吉日
太刀 銘 備後國住善博作 平成十九年春吉日
備後國住善博作
平成十九年
春吉日
鑑定区分
未鑑定
刃長
73.2
所蔵・伝来
刀剣ワールド財団
〔 東建コーポレーション 〕

久保善博

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無鑑査刀匠は、作家の過去における実績に基づき、特定の展覧会などで審査・鑑査を行わずに出品が認められた刀匠のことです。公益財団法人日本美術刀剣保存協会が主催する現代刀職展において複数回、特賞を受賞し、なおかつ人格が高潔であり刀匠としての腕前が認められる者にその称号が与えられるのです。こちらではこの無鑑査刀匠の称号を持つ刀工「久保善博」についてご紹介します。
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